テクスチャ編集の基本|どのソフトで、どこを塗るのか
テクスチャ編集は、色替えの中で最も自由度が高いやり方です。服の柄を描き替える、肌に模様を入れる、ワンポイントを足す。設定をいじるだけでは届かない変更が、ここで初めてできるようになります。
一方で、触ってはいけないファイルを開いて塗ってしまう事故も、この作業で最も多く起きます。アバターに付属する画像ファイルは全部が絵ではなく、中には表示の計算に使われる特殊な画像が混ざっているからです。
どのファイルが何を担当しているのか。この見分け方さえ身につけば、あとは編集ソフトの選び方、保存の仕方、戻せる管理の作り方と続くだけです。上から通して読めば、事故を踏まずに始められます。
テクスチャは、立体を平面に開いた「型紙」
3Dモデルの表面に貼られている画像がテクスチャです。立体の表面をそのまま平面に開いたもので、服の型紙をイメージすると近い形になります。
UVが「どこがどこに対応するか」を決めている
平面の画像を立体に貼り付けるには、対応関係が必要です。画像のこの部分がモデルの右腕、この部分が背中、といった割り当てが決められていて、これをUVと呼びます。展開の仕方はモデルごとに違います。
だから、画像を見ただけでは、どこが体のどの部分かは分かりません。頭と胴体が離れた場所に配置されていることも、左右が別々の位置にあることも普通です。用語の全体像はアバター用語辞典で整理しています。
対応を確かめる実用的な方法
いきなり本番の絵を描き始めず、まず目立つ色で一部だけ塗って書き出し、モデル上のどこが変わったかを見ます。これを何回か繰り返すと、画像のどのあたりが体のどこかの見当がつきます。
この確認を先にやっておくと、塗り直しの回数が大きく減ります。面倒に見えますが、結果的に早く終わります。
テクスチャ編集で最初にやるのは、絵を描くことではなく「対応を調べること」です。ここを飛ばすと、描いた絵がどこに出るか分からないまま作業することになります。
付属する画像が全部「絵」とは限らない
アバターのデータを開くと、似た名前の画像ファイルが何枚も並んでいます。これらは役割が違い、扱い方も変わります。ここを取り違えると表示が壊れます。
色を描いた画像と、計算に使う画像
私たちが普通に「絵」として認識できるのは、色や柄を描いた画像です。これは見たまま塗って構いません。一方で、表面の凹凸を表現するための画像や、どこがどれくらい光るかを指定する画像もあります。
後者は、色そのものに意味がありません。青みがかった不思議な色の画像や、白黒だけの画像は、この種類である可能性が高いと考えてください。見た目の感覚で塗ると、凹凸の向きや光り方がおかしくなります。
見分けるための手がかり
いちばん確実なのは、マテリアルの設定を開いて、どの項目にどの画像が割り当てられているかを見ることです。基本の色を指定する項目に入っている画像が、絵として編集してよいものです。
ファイル名にも手がかりがあります。役割ごとに決まった接尾辞を付けている配布物が多いので、同じ接尾辞を持つファイルは同じ役割だと当たりがつきます。ただし命名は作者ごとに違うので、最後は割り当てで確認してください。
配布データに説明書きが同梱されていることもあります。どのファイルが何用かを作者が書いてくれている場合、それがいちばん正確な情報です。開く前に一度、同梱の文書に目を通しておきましょう。
白黒だけの画像や、全体が青紫がかった画像を「地味だから」と塗り替えるのは避けてください。これらは色ではなく数値として使われていて、塗ると表示の計算が崩れます。
編集ソフトは「透明を正しく扱えるか」で選ぶ
ソフトの選択肢は多いですが、アバターのテクスチャ編集で本当に必要な条件は多くありません。高機能である必要はなく、いくつかの条件を満たしていれば進められます。
最低限そろえたい3つの条件
1つめはレイヤーが使えること。元の絵の上に別の層を重ねて塗れないと、失敗したときに戻せません。2つめは透明部分を保ったまま保存できること。3つめは、元のファイルと同じ形式で書き出せることです。
この3つを満たしていれば、無料のソフトでも十分に作業できます。逆にこの条件を欠いたソフトを使うと、透けるはずの部分が塗り潰されるといった不具合が出ます。
3Dの上に直接描けるソフトという選択肢
モデルの上に直接ペイントできるタイプのソフトもあります。UVの対応を意識せずに塗れるぶん、継ぎ目の処理はぐっと楽です。Blenderのようなモデリングソフトにもこの機能があります。
ただし、平面の画像編集ソフトより操作の学習量は増えます。まずは平面のソフトで基本を掴み、継ぎ目の処理で困ったときに検討するのが無理のない進み方です。
ソフトを増やしすぎない
解説記事ごとに違うソフトが紹介されるので、つい何本も入れたくなります。ただ、道具が増えるほど「どれで何をしていたか」が見えなくなっていきます。1本に決めて使い込むほうが上達は早くなります。
作業ファイルの形式がソフトごとに違うのも理由の一つです。別のソフトで開き直すとレイヤーの構成が崩れることがあり、修正したいときに手が止まります。過去の作業を開き直せる状態を保つ意味でも、使うソフトは固定しておくのが得策です。
塗る手順と、崩れやすい場所
手順そのものは単純です。事故が起きるのは、確認を飛ばしたときだけです。
基本の流れ
対象ファイルを特定する
マテリアルの設定を開き、基本の色を指定する項目に入っている画像を確認します。似た名前が並ぶので、思い込みで選ばないでください。
複製してから開く
編集用の複製を作り、元のファイルは触らずに残します。名前に用途を書いておくと後で判別できます。
新しいレイヤーに塗る
元の絵の上に層を重ねて塗ります。直接塗り潰してしまうと、部分的な修正ができません。
元と同じ形式で書き出す
形式が変わると透明の扱いが変わることがあります。元に合わせるのが安全です。
差し替えて動かして確認する
マテリアルの参照先を差し替え、腕を上げる・振り向くといった動きで継ぎ目を確認します。
継ぎ目と、はみ出しの余白
UVの境目にあたる部分は、平面上では離れていても、モデル上ではつながっています。ここで色がずれると、線のような継ぎ目が見えます。境目付近は、少しはみ出して塗っておくと目立ちにくくなります。
もともとのテクスチャにも、輪郭の外側に少しだけ色がはみ出して塗られていることが多くあります。これは意図的なもので、消してしまうと縁に細い隙間が出ます。
継ぎ目は静止した状態では気づきにくく、動かすと急に目立ちます。書き出したあとに正面から見て終わりにせず、腕を回す、しゃがむ、振り向くといった動きを一通り試してください。関節まわりは特に伸び縮みするので、崩れが出やすい場所です。
左右対称のモデルは片側だけ変わることがある
左右で同じ画像領域を共有しているモデルでは、片方を塗るともう片方も同じように変わります。左右で違う模様を入れたいなら、そもそも展開が分かれていることが前提です。
思った通りにならないときは、UVの作りがそうなっていないだけ、ということがよくあります。塗り方の問題ではないので、無理に押さず設計側の制約として受け入れましょう。
解像度と保存形式の決め方
編集した画像をどう保存するかで、見た目と重さの両方が変わります。ここは感覚ではなく、方針を決めてから触る場所です。
解像度は「上げても戻らない」
元のテクスチャより高い解像度で描き直しても、元の絵に描かれていた情報が増えるわけではありません。拡大した分だけぼやけるだけです。書き足す部分を細かく描きたい場合を除けば、元と同じ大きさで作業するのが素直です。
逆に、下げるほうは効果があります。表示の負荷はテクスチャの影響が大きく、見た目への影響が小さい部分から下げていくのが軽量化の定石です。下げる優先順位の考え方はテクスチャの解像度と枚数を減らす記事で扱っています。
形式は元に合わせるのが基本
透明を含む画像を、透明を扱えない形式で保存すると、透けるはずの場所が塗り潰されます。髪の先端や、レースのような表現でこれが起きると、一目で分かるほど崩れます。
迷ったら、元のファイルと同じ形式にしてください。編集中の作業ファイルは、ソフト独自の形式でレイヤーを保ったまま残しておくと、あとから修正できます。
もう一つ気をつけたいのが、圧縮による劣化です。保存のたびに画質が落ちる形式で作業を往復すると、少しずつにじみが溜まっていきます。編集は劣化しない形式で進め、最後に一度だけ配布用の形式へ書き出す流れにすると安全です。
← 横にスクロールできます →
| 保存の判断 | 元と同じ形式 | 軽い形式に変更 | 解像度を上げる |
|---|---|---|---|
| 透明が保たれる | ◎ | × | ◎ |
| 見た目が変わらない | ◎ | ◯ | ◯ |
| 負荷が下がる | × | ◎ | × |
| 初めての人向き | ◎ | × | × |
※実際に必要な設定は配布物とサービスの前提によって変わります。
差分で管理して、いつでも戻れるようにする
テクスチャ編集は、あとから「やっぱり少し変えたい」が必ず出ます。戻れる形にしておくかどうかで、その後の修正のしやすさが大きく変わります。
レイヤーを残した作業ファイルを保持する
書き出した画像だけを残していると、修正のたびに一から塗り直すことになります。レイヤーを分けたまま保存した作業ファイルを、書き出し用とは別に置いておいてください。
レイヤーの分け方にも工夫の余地があります。色を変えた層、模様を足した層、修正した層を分けておくと、あとから一部だけ消す判断ができます。
層に名前を付けておくのも効きます。数か月後の自分は、何のために作った層かをまず覚えていません。「袖の柄」「肌の影を足した分」といった短い名前で十分なので、作った時点で付けておきましょう。
元ファイルには絶対に上書きしない
配布された画像を直接編集して上書きすると、購入時の状態に戻す手段がなくなります。再ダウンロードできる場合もありますが、いつでもできるとは限りません。
作業に入る前にプロジェクトのフォルダごと複製しておくのが、いちばん手堅い運用です。改変全体の進め方は改変の全体像をまとめたガイドにまとめてあります。
色を変えるだけなら、テクスチャを触らなくてもいいと聞きました。
その通りです。全体の色味を変えるだけなら設定側で足ります。テクスチャを開くのは、部分的に塗り分けたい、柄を変えたいと思ったときからで十分です。
よくある質問
描き替えるだけなら重さは変わりません。重さに影響するのは、画像の大きさと枚数、そして形式です。解像度を上げたり、新しい画像を追加したりすると負荷は増えます。逆に、既存の画像に描き足すだけなら、ファイルの大きさが同じである限り負荷も同じです。追加ではなく描き替えで済ませるほうが、軽さの面では有利になります。
元のアバターの規約次第です。テクスチャは配布物の一部なので、そのまま配ることは認められていない場合がほとんどです。自分で描いた部分だけを取り出した差分なら認めているところもありますが、これも規約に書かれているかを確認する必要があります。判断に迷う場合は、配布元へ問い合わせるのが確実です。
できます。実際に多いのは、既存の色を塗り替える、単色で塗り分ける、用意された模様を貼るといった作業です。ゼロから絵を描く場面は多くありません。まずは元の絵の上に半透明の層を重ねて色味を変えるところから始めると、絵の技術がなくても結果が出せます。設定側で足りる範囲は色替えの3つのやり方を比べた記事も参考にしてください。
まとめ
- テクスチャは立体を平面に開いた画像。UVが対応関係を決めている
- 付属画像には色用と計算用がある。白黒や青紫の画像は塗らない
- ソフトは高機能さより「レイヤー」「透明の保持」「同じ形式で書き出せる」で選ぶ
- 塗るときは新しいレイヤーに。境目は少しはみ出して塗ると継ぎ目が目立たない
- 解像度は上げても情報は増えない。形式は元に合わせるのが安全
- レイヤーを残した作業ファイルを別に保持し、元ファイルは上書きしない
編集した結果を軽さの面から見直したくなったら、テクスチャの解像度と枚数を減らす記事へ進むと、下げてよい場所と下げてはいけない場所の判断がつくようになります。
※ファイルの命名規則や割り当ての作りは配布物ごとに異なります。実際のデータで確認してください。