改変・カスタマイズ

シェーダー入門|lilToon・Poiyomi・UnlitWFの選び分け

目次

アバターの見た目が「販売ページの写真と違う」と感じるとき、原因はモデル本体ではなくシェーダーにあることがよくあります。光の当たり方、影の落ち方、輪郭線の出方。これらを決めているのがシェーダーだからです。

まず、シェーダーの担当範囲がどこまでなのかを線引きします。そこから、名前をよく見かけるlilToon・Poiyomi・UnlitWFの性格の違いへ。初めて選ぶときの基準と、1体の中で複数を混ぜるときの注意までまとめます。

先に結論を言うと、最初の1本は「そのアバターがもともと使っているもの」を選ぶのがいちばん安全です。理由は本文で説明します。

シェーダーは「光のルール」を決めている

3Dモデルは、形(メッシュ)と表面の画像(テクスチャ)だけでは画面に出せません。その表面に光がどう反応するかを計算する仕組みが必要で、それがシェーダーです。同じ形・同じテクスチャでも、シェーダーが違えば別のキャラクターのように見えます。

写実寄りとイラスト寄りで計算が違う

現実に近い見え方を目指すシェーダーは、光の反射や散乱をなるべく物理法則に沿って計算します。一方、アニメ調のアバターで多く使われるのは、明るい面と影の面をはっきり分ける方式です。中間の階調をあえて省くことで、イラストのような塗りに近づけています。

ソーシャルVRで使われるアバター向けシェーダーの多くは、後者を土台にしています。そのうえで、輪郭線、頬の赤み、髪の艶、光る表現といった機能が積まれている、という構造です。

この土台の違いは、暗い場所に行ったときにはっきり出ます。写実寄りの計算では光が無ければ真っ暗になりますが、アバター向けのものは「暗くても顔は見える」ように下限を持たせている場合が多いためです。同じワールドに立っても、シェーダー次第で顔の見え方が変わるのはこのためです。

マテリアルという単位で割り当てられる

シェーダーはモデル全体に1つ、ではありません。マテリアルという単位ごとに割り当てられます。マテリアルは「肌」「髪」「服」のように表面の設定をまとめた箱で、その箱ごとに、どのシェーダーを使い、どの数値にするかが保存されています。

だから髪だけ艶の出方を変える、服だけ影を濃くする、といった調整ができます。用語の整理から入りたい場合はアバター用語辞典でメッシュ・マテリアル・テクスチャの関係を確認しておくと、以降の話が読みやすくなります。

シェーダーはアバターに同梱されないことがある

ここが初心者のつまずきどころです。シェーダーは配布アバターとは別に配られていることが多く、モデルを取り込んだだけでは揃いません。アバター側は「このシェーダーを使う」という指定だけを持っているので、指定先が手元に無いと表示が壊れます。

そのため、改変の準備段階では「モデルを入れる前にシェーダーを入れる」という順番が定石になっています。順番を逆にしても後から復旧はできますが、割り当てをやり直す手間が発生します。最初から順番を守るほうが手数は少なく済みます。

衣装やアクセサリーを追加するときも同じです。素材ごとに前提となるシェーダーが違うことがあるので、取り込む前に説明を読み、足りないものを先に揃えてから作業に入ります。

ここがポイント

シェーダーはマテリアルごとに割り当てられる「光の計算ルール」です。アバター本体とは別に配布されていることが多く、先に入れておかないと見た目が壊れます。

3種類の性格の違いを押さえる

アバター改変の場面で名前がよく挙がるのが、lilToon、Poiyomi、UnlitWFの3つです。どれもアニメ調の表現を得意としますが、設計思想が違います。優劣ではなく、向いている方向の違いとして捉えるのが正確です。

lilToon:守備範囲が広く、情報も追いやすい

幅広い機能を1本にまとめつつ、必要なところだけ開いて触れる構成になっているのが特徴です。基本の設定だけでも見た目が整いやすく、凝りたくなったら段階的に踏み込めます。

国内の配布アバターで採用されている割合が高く、日本語の解説記事や、それを前提にした改変手順も見つけやすい状況です。詰まったときに調べやすいというのは、最初の1本としては大きな利点になります。

Poiyomi:演出を作り込みたい人向け

発光、模様のスクロール、部分的な透過など、演出寄りの機能が豊富です。ステージ映えする見せ方や、ギミックと組み合わせた表現をやりたい場合に選ばれます。

その分、触れる項目が多く、最初は迷いやすい面があります。また、機能を盛るほど描画の負担は増えるので、どこまで使うかは自分で線を引く必要があります。

UnlitWF:素直さと軽さに寄っている

必要な効果を必要な分だけ足していく発想で作られています。設定が素直で、何をどう変えたのかが追いやすいのが持ち味です。負荷を抑えたい構成や、見た目をシンプルに保ちたい場合に相性がよいシェーダーです。

「盛る」よりも「整える」方向の道具だと考えると、使いどころがはっきりします。派手な演出は苦手というより、そこを狙っていない、という性格です。

3つに共通してできること

性格は違っても、基本的な部分はどれも押さえています。色味の調整、影の濃さと境目の硬さ、輪郭線の太さと色、光沢の強さ。このあたりは名前や置き場所が違うだけで、どのシェーダーにもあります。

つまり「これでしかできない調整」は、実は多くありません。最初のうちに触る範囲であれば、どれを選んでも到達できる見た目に大きな差は出ないと考えて構いません。

← 横にスクロールできます →

観点lilToonPoiyomiUnlitWF
最初の取っつきやすさ◎◯◎
演出機能の多さ◯◎◯
設定の見通しのよさ◯△◎
日本語情報の探しやすさ◎◯◯

※あくまで傾向の比較です。設定の仕方によって結果は変わります。

初めて選ぶときの基準

結論から言えば、最初は自分で選ばないほうがうまくいきます。判断の起点は自分の好みではなく、アバターの側にあります。

まずアバターの指定に従う

配布アバターには、想定しているシェーダーがあります。そのシェーダーを前提に、マテリアルの数値が調整されているためです。別のものに差し替えると、設定は初期値に戻り、作者が作り込んだ見え方は失われます。

付属の説明ファイルや配布ページに、必要なものが書かれているのが一般的です。まずはそこに書かれたものを入れる。これが遠回りに見えていちばん早い道です。

自分で選ぶ場面はどこか

自分で選ぶ必要が出てくるのは、複数のアバターや衣装を扱うようになってからです。素材ごとにばらばらのシェーダーが指定されていると、管理が煩雑になります。そのときに「主に使うものを1本決める」という判断が生きてきます。

基準は3つで足ります。ひとつは、自分がよく使う素材で採用されているかどうか。ふたつめは、困ったときに調べられる情報があるかどうか。みっつめは、やりたい表現に必要な機能があるかどうかです。この順に見ていくと、候補はだいたい絞れます。

逆に、他人の作例がきれいだったから、という理由だけで決めるのは避けたほうが無難です。その作例は、シェーダーだけでなくテクスチャや照明の条件も込みで成立しています。同じものを入れても同じ絵にはなりません。


アバターの指定を確認する

同梱の説明や配布ページに、必要なシェーダーが書かれています。まずそれを入れます。


シェーダーを先に、モデルを後に入れる

この順番を守るだけで、初回の表示崩れの多くを避けられます。


標準の見た目を一度確認する

何も触らない状態を見ておくと、あとで変えた場所が分かります。


触る項目を絞って試す

影の濃さや輪郭線など、効果が分かりやすいものから1つずつ動かします。


重さとの関係を誤解しない

「このシェーダーは重い」という言い方をよく見ますが、正確ではありません。重さを作っているのは、シェーダーそのものより、有効にした機能の量です。

負荷は機能の積み上げで増える

透過処理、発光、複数の重ね塗り、細かい反射。こうした表現は、画面に映る画素ごとに計算が走ります。機能を盛れば盛るほど負担は増え、画面いっぱいにアバターが映る場面ほど効いてきます。

逆に言えば、高機能なシェーダーでも、使う機能を絞れば軽く運用できます。名前で決めつけず、何を有効にしているかを見るほうが実態に近づきます。

モバイル環境では選択肢が狭い

スタンドアロン機やスマホ向けでは、使えるシェーダーの範囲が限られます。PC向けの見た目をそのまま持ち込むことはできず、別途用意する前提になります。

どの項目が評価に効いているかを知りたい場合はPerformance Rankの読み方を確認すると、削る場所の見当がつきます。

注意

シェーダーの機能をたくさん有効にすると、同じアバターでも負荷は上がります。人が多い場所へ行くことが多いなら、演出は絞っておくほうが快適です。

複数のシェーダーを混ぜるとき

1体のアバターに、違うシェーダーが混在していても動きます。壊れるわけではありません。ただし、管理の手間は確実に増えます。

混在で起きる典型的なずれ

影の出方や色の乗り方は、シェーダーごとに計算が違います。素体と衣装で別のものを使っていると、同じ光の下でも肌と服の明るさが噛み合わない、という状態になりがちです。

また、設定項目の名前も並びも違うので、全身の明るさをまとめて調整したいときに、二度手間になります。可能なら統一しておくほうが後が楽です。

統一するときは元に戻せる状態で

シェーダーを差し替えると、それまでの数値設定は引き継がれません。作業前に複製を取っておくと、気に入らなかったときに戻せます。差し替えは一度に全部やらず、部位ごとに進めて都度見た目を確認するのが安全です。

更新のタイミングにも気をつける

シェーダーは更新されます。改変の途中で入れ替えると、見た目が変わることがあります。作業中は据え置き、区切りのよいところで更新し、更新後に一度全身を確認する。この流れにしておくと原因の切り分けが楽になります。

表示が壊れたときの入口

シェーダー絡みの不具合は、症状がはっきり出るので切り分けやすい部類です。代表的なものを知っておくと、慌てずに済みます。

全体が単色になる

マテリアルが鮮やかな単色で塗りつぶされたようになる症状は、指定されたシェーダーが見つかっていないことを示しています。原因はほぼ一つに絞れるので、マテリアルがピンクになる問題の記事の手順で順に確認すれば復旧できます。

色や影だけがおかしい

形は正しいのに質感だけ違う場合は、シェーダーは見つかっているが設定が初期値に戻っている、という状態が疑われます。テクスチャの割り当てが外れていないか、影の設定が極端になっていないかを見ていきます。

初心者さん

衣装を足したら、服だけ妙にてかてかになりました。


編集部

素体と衣装で別のシェーダーが使われている可能性が高いです。まず衣装側のマテリアルがどれを使っているか確認して、素体と揃えられるか見てみましょう。

よくある質問

無料で公開されているものがあり、アバター改変で名前をよく見るものの多くは無料で導入できます。ただし、追加機能が別配布になっている場合や、利用範囲に条件が設けられている場合があります。配布元の説明と利用条件は導入前に読んでおきましょう。


変えられます。ただし、マテリアルの数値設定は引き継がれず、作者が調整した見た目は失われます。差し替えるなら、元の状態を複製で残したうえで、部位ごとに少しずつ進めるのが安全です。まずは指定どおりに入れて、標準の見た目を知ってから判断することをおすすめします。


マテリアルの設定を開くと、そのマテリアルが使っているシェーダーの名前が先頭付近に表示されます。素体と衣装で違うものが使われているかどうかも、ここを部位ごとに見れば分かります。導入するツール全体の役割分担は改変の道具立ての記事で整理しています。

まとめ

  • シェーダーは「光がどう当たるか」を決める仕組みで、マテリアル単位で割り当てられる
  • アバターとは別配布のことが多い。モデルより先に入れるのが定石
  • lilToonは守備範囲と情報量、Poiyomiは演出、UnlitWFは素直さと軽さに寄っている
  • 最初はアバターの指定に従う。自分で選ぶのは複数の素材を扱い始めてから
  • 重さを作るのはシェーダー名ではなく、有効にした機能の量

単色に塗りつぶされる症状が出ているならピンク化の直し方へ、それ以外の不具合なら症状から引ける形の記事があります。用語の土台を固めたい場合は用語辞典に戻ると理解が早まります。

※シェーダーの機能や設定項目は更新で変わります。詳細は配布元のドキュメントを確認してください。

あわせて読みたい