改変・カスタマイズ

衣装を着せ替える手順と、貫通・はみ出しの直し方

目次

衣装の差し替えは、改変のなかで見た目の変化がいちばん大きい作業です。そして、素体が服を突き抜ける「貫通」で手が止まる人がいちばん多い場所でもあります。

対応衣装を着せる基本の流れを押さえたら、そのまま貫通やはみ出しの直し方へ進みます。原因の種類ごとに分けてあるので、症状から逆に引けます。揺れものが暴れる場合の調整と、元の状態に戻せるようにしておく手当てまで扱います。

先に結論を書きます。着せ替えで詰まる場所はほぼ決まっていて、「対応の範囲を勘違いしている」「素体を隠す処理をしていない」「揺れる設定が二重になっている」の3つです。この3つを潰せば、たいていの衣装は着られます。

「対応衣装」が保証してくれる範囲

販売ページに「◯◯対応」と書かれている衣装は、その素体の骨組みと体型に合わせて作られています。ただし「対応」という言葉が指す範囲は、作り手によって少しずつ違います。ここを先に把握しておくと、あとで慌てずに済みます。

対応が意味しているのは「合わせ込み済み」ということ

対応衣装は、素体の標準体型に合わせて形が調整されています。骨組みの構成も素体に合わせてあるため、取り込んだ時点でだいたいの位置に収まります。作り手によっては、素体を隠すためのデータや、体型を縮めるための設定まで同梱されています。

逆に言えば、素体側を自分で改造している場合、その調整分は考慮されていません。シェイプキーで体型をいじったあとに衣装を着せると、対応品でもはみ出すことがあります。体型調整と着せ替えは、順番を意識して進める作業です。

非対応衣装を着せる場合に増えること

別の素体向けに作られた衣装を着せることもできますが、作業量は段違いに増えます。骨組みの対応づけ、全体の大きさ合わせ、肩や腰まわりの形の作り直しなど、手作業の割合が高くなります。

3Dの形を直接編集する道具が必要になる場面も出てきます。最初の何着かは対応衣装で流れをつかみ、非対応に挑戦するのはそのあとにするほうが確実です。

買う前に確認しておきたいこと

衣装を選ぶ段階で、対応素体の一覧に自分のアバターの名前が入っているかを見ます。似た名前の別バリエーションがあることもあるので、正確に一致しているかを確かめましょう。

あわせて、素体を隠すためのデータが同梱されているか、前提としているツールやシェーダーが何かも見ておきます。ここが書かれている衣装は、着せたあとの作業が短くて済みます。書かれていない場合は、自分で隠し処理を組む前提で考えておくと安全です。

ここがポイント

着せ替えの前に、素体の体型を触っているかどうかを確認しましょう。触っているなら、その状態を基準に合わせ込む必要があります。体型調整の考え方は別記事にまとめています。

着せ替えの基本の流れ

作業そのものは、順番さえ守れば単調です。詰まるのは順番を飛ばしたときなので、流れを頭に入れてから始めましょう。

始める前に済ませておくこと

作業用のプロジェクトを開いたら、まず衣装が要求している前提が揃っているかを確かめます。指定のシェーダーが入っていないと、着せた瞬間に色が壊れて見えます。同梱の説明書きに前提ツールの一覧があるので、そこから先に埋めていきます。

次に、いまの状態を保存しておきます。着せ替えは試行錯誤が前提の作業なので、戻れる地点があるかどうかで気楽さが変わります。

取り込みから配置まで


衣装データを取り込む

配布形式に従ってプロジェクトへ読み込みます。読み込み時にエラーが出たら、前提ツールが足りていないことが多いです。


アバターの下に置く

衣装をアバターの階層内へ移動します。この時点では位置がずれていて構いません。


骨組みを対応づける

衣装側の骨組みを素体の骨組みに紐づけます。非破壊で扱えるツールを使うと、この工程が自動化できます。


位置と大きさを確認する

正面・横・後ろから見て、極端なずれがないかを見ます。ずれがあれば衣装全体の位置と大きさで合わせます。


素体の隠し処理をする

衣装の下に入る素体部分を隠します。ここを飛ばすと貫通が残ります。


動かして確認する

腕を上げる、しゃがむ、振り向く。動きのあるポーズで破綻が出ないかを見ます。



位置合わせで見る3か所

細かく詰める前に、大きなずれを取ります。見る場所は、首まわり、肩、腰の3か所です。この3か所が合っていれば、残りは細部の調整になります。

首まわりは、襟の内側から素体の首が変な角度で出ていないかを見ます。肩は、腕を下ろした状態で袖の付け根が浮いていないかです。腰は、上下の衣装が重なる部分で隙間が空いていないかを確認します。

ここで全体の大きさを変えるときは、縦横を均等に変えましょう。片方向だけ引き伸ばすと、素体との相性が崩れて後の調整が難しくなります。

貫通・はみ出しの直し方

貫通は、素体の表面が衣装の外側に出てしまう状態です。対処は大きく2通りしかありません。「素体側を消す」か「素体側を細くする」かです。どちらを選ぶかは、貫通の出方で決まります。

ここで衣装のほうを大きくして逃げるのは、あまり良い手ではありません。全体の比率が崩れ、他の部分との合わせ目に新しい隙間ができます。動かすのは基本的に素体側だと覚えておきましょう。

広い面が出ているなら素体を消す

お腹や太ももなど、衣装で完全に覆われる場所は、素体のその部分を表示しないようにするのがいちばん確実です。多くの素体には、部位ごとに表示を切る仕組みが用意されています。衣装側に、隠す範囲を指定したデータが同梱されていることもあります。

用意がない場合は、素体のメッシュから該当部分を消す作業になります。元データを直接削るのではなく、複製したものに対して行い、いつでも戻せる形にしておきましょう。

縁からわずかに出るなら素体を細くする

袖口や襟元、スカートの裾など、境目から少しだけはみ出す場合は、消すと逆に不自然になります。この場合は、素体の該当部分を細くするシェイプキーを使います。素体側に「衣装用」としてこの種のシェイプキーが用意されていることが多く、値を少しずつ動かして収まる点を探します。

動かしすぎると、衣装のない部分まで痩せて見えます。全身を一度引いて眺め、シルエットが不自然になっていないかを確認しながら詰めていきましょう。詳しい考え方はシェイプキーで体型を調整する記事で扱っています。

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症状原因の候補対処戻しやすさ
広い面が突き抜ける隠し処理をしていない部位ごと非表示にする◎
縁から少しだけ出る体型の差シェイプキーで細くする◎
動いたときだけ出る骨組みの追従の差揺れ設定と重みの見直し◯
体型調整後に出た調整が衣装に反映されていない順番を戻してやり直す◯

※素体と衣装の構成によって使える手段は変わります。

動いたときだけ出る場合

静止状態では問題ないのに、腕を上げたりしゃがんだりすると出てくる場合があります。これは骨組みへの追従のしかたが素体と衣装でずれていることが原因です。

この症状は、手を入れる難易度が一段上がります。まずは衣装側の揺れ設定や、干渉を判定している範囲を見直し、それでも直らなければ作者の説明書きや同じ組み合わせの事例を探すのが現実的です。症状から原因を辿る手順は改変トラブルの逆引き記事にまとめています。

揺れものが暴れるときの調整

スカート、リボン、長い袖。揺れる設定が入ったパーツを着せると、動いたときに大きく跳ねたり、体にめり込んだりすることがあります。原因はいくつかに分かれます。

設定が二重になっていないか

いちばん多いのは、素体側の揺れ設定と衣装側の揺れ設定が同じ場所に効いている状態です。二重にかかると動きが増幅され、不自然に暴れます。どちらか一方に絞れば落ち着きます。

衣装に揺れ設定が同梱されている場合は、衣装側を残して素体側の該当部分を止めるのが基本です。逆に、素体側で全身の揺れを統一管理している構成なら、衣装側を外して素体側に寄せます。どちらに寄せるかを先に決めておくと、パーツが増えたときに混乱しません。

体にめり込むときは当たり判定を見る

揺れるパーツが脚や胴体を突き抜ける場合、当たり判定の設定が効いていないか、判定の範囲が実際の体と合っていないことが考えられます。素体側に用意されている判定を、衣装の揺れ設定が参照する形になっているかを確認します。

判定を増やせば増やすほど処理は重くなります。目立つ場所だけに絞るのが現実的で、全身に細かく入れる必要はありません。負荷がどう評価されるかはPerformance Rankの読み方の記事で確認できます。

揺れ幅は「静止」ではなく「動き」で決める

止まった状態で見ていると、揺れの強さは判断できません。歩く、走る、その場で回る。この3つを試して、行きすぎたときにどこまで戻るかを見ます。

揺れが強すぎると軽薄に見え、弱すぎると布に見えません。硬さと減衰にあたる項目を少しずつ動かし、動きが止まったときにきれいに落ち着く位置を探しましょう。厚手の生地は硬めに、薄い布は柔らかめに寄せると自然になります。

注意

揺れものと当たり判定は、増やすほど負荷が上がります。人が多い場所によく行くなら、動きの見栄えと軽さのバランスを意識しておきましょう。負荷の見方は指標の記事で確認できます。

元の状態に戻せるようにしておく

着せ替えは、うまくいかなければ外して別の衣装を試す、という進み方をします。だからこそ、外せる状態を保っておくことが効いてきます。

非破壊で組むと戻し作業が消える

元データを書き換えずに、設定を積み上げる形で改変する考え方があります。この方式なら、衣装を外すのは追加した部分を無効にするだけで済みます。素体のメッシュを直接削ってしまうと、戻すのに元データの再取り込みが必要になります。

非破壊での組み方については非破壊改変の考え方をまとめた記事で詳しく説明しています。着せ替えを何着も試すつもりなら、先に読んでおくと作業量が変わります。

段階ごとに保存地点を作る

「衣装を入れた直後」「位置を合わせた直後」「隠し処理をした直後」。この単位で保存しておくと、失敗しても直前まで戻れます。全部やってから壊れたことに気づくと、どこが原因か分からなくなります。

保存の粒度は、作業の重さで決めるのが実用的です。数分で戻せる範囲なら細かく取らなくてかまいませんが、位置合わせのように手作業が積み上がる工程の前後は、必ず区切りを入れておきましょう。

衣装を複数用意して切り替えたい場合は、それぞれを独立した固まりとして扱い、まとめて表示・非表示を切れる形にしておきましょう。あとからメニューに組み込むときも楽になります。

初心者さん

対応衣装を入れたのに、お腹のあたりから素体が出てしまいます。


編集部

隠し処理がまだの可能性が高いです。衣装の下に入る部分は、表示を切るか消すかしないと残ります。同梱データに隠す範囲の指定が含まれていないかも確認してみてください。

よくある質問

できますが、対応衣装より手間が大きく増えます。骨組みの対応づけ、全体の大きさ合わせ、肩や腰まわりの形の調整が必要になり、3Dの形を直接編集する道具を使う場面も出てきます。まずは対応衣装で流れを覚え、慣れてから挑戦するほうが挫折しにくいです。なお、衣装の規約で改変範囲が定められている場合があるので、作業前に確認しておきましょう。


先に体型を決めてから衣装を合わせるほうが手戻りが少なくなります。衣装は素体の標準体型に合わせて作られているため、あとから体型を動かすと、合わせ込んだ結果が崩れます。どうしても後から変えたい場合は、衣装側にも同じ調整が届く構成になっているかを確認してください。


着せ方ではなく、表示に使う設定が足りていないことがほとんどです。衣装が前提としているシェーダーがプロジェクトに入っていないと、表面の見た目が壊れます。同梱の説明書きにある前提を確認し、必要なものを入れてから読み込み直してください。位置や骨組みの設定はそのままで直ることが多いです。

まとめ

  • 対応衣装でも、素体側を改造していれば合わせ直しが要る
  • 着せ替えは順番が命。骨組みの対応づけ→位置合わせ→隠し処理の順で進める
  • 広い面の貫通は「消す」、縁のはみ出しは「細くする」で対処が分かれる
  • 揺れものが暴れる原因の多くは、素体と衣装で設定が二重になっていること
  • 非破壊で組み、段階ごとに保存地点を作れば、何着でも試せる

改変全体の地図から確認したい場合はアバター改変の完全ガイドへ進むと、いま自分がどの工程にいるのかが見えてきます。

※素体と衣装の組み合わせによって使える手段は変わります。同梱の説明書きと利用規約を優先して確認してください。

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