シェイプキーで体型を微調整する|やりすぎない範囲の見極め
買ったアバターの体型を少しだけ変えたい。そう思ったとき、モデリングを覚える必要はありません。多くのアバターには、あらかじめ用意された変形のスイッチが入っています。それがシェイプキー(ブレンドシェイプ)です。
シェイプキーが何をしている仕組みなのか。そこを押さえると、体型を触ったときに衣装との相性が崩れる理由も見えてきます。どこまでなら安全に動かせるのか、そして元に戻せる形で作業を残す方法も扱います。
先に要点を言うと、体型のシェイプキーは「素体だけの話」では終わりません。衣装が付いている状態では、素体と衣装をセットで考える必要があります。ここを外すと、あとから原因が分からなくなります。
シェイプキーは用意された変形を呼び出す仕組み
3Dモデルの表面は、たくさんの頂点をつないで形が作られています。シェイプキーは、その頂点を「元の位置」から「別の位置」へどれだけ動かすかを、あらかじめ記録したものです。スライダーを動かすと、その記録に従って形が変わります。
0から1の間を混ぜているだけ
数値は、変形をどの程度適用するかの割合です。何も適用しない状態と、記録された変形を完全に適用した状態。その間を連続的に混ぜているのがシェイプキーの動きです。だから中途半端な位置で止めても、形はなめらかにつながります。
ここで大事なのは、記録されていない変形は作れないということです。用意されていない方向へは動かせません。「もう少し細く」ができるのは、細くする変形が最初から用意されている場合だけです。
表情用と体型用が同じ場所に並ぶ
シェイプキーは表情にも使われます。まばたき、口の開閉、頬の膨らみ。これらも同じ仕組みです。そのため、一覧を開くと表情用と体型用が混ざって並んでいることがよくあります。
体型を触るつもりで表情用を動かすと、口が半開きのまま固定されるといった状態になります。名前を見て、どちらの系統かを判断してから触りましょう。用語そのものの整理はアバター用語辞典でまとめています。
どこに付いているかで効く範囲が変わる
シェイプキーはモデル全体ではなく、メッシュごとに保存されています。素体には素体の、衣装には衣装の一覧があります。素体側で体型を変えても、衣装側に同じ変形が用意されていなければ、衣装はそのままの形で残ります。
この非対称が、次に説明する不具合の正体です。仕組みとして分けて保存されている、という点をまず押さえてください。
また、頭・体・髪のようにメッシュが分かれているアバターでは、一覧もその数だけ存在します。顔まわりを触りたいのに体の一覧を開いている、という取り違えは起こりがちです。どのメッシュを選んでいるかを毎回確認する癖をつけると、無駄な試行が減ります。
数値を上げても軽さは変わらない
シェイプキーで形を変えても、面の数は増えません。頂点の位置が移動するだけなので、ポリゴン数は据え置きです。体型を変えたから重くなった、ということは基本的に起こりません。
ただし、シェイプキーを持っていること自体には多少のコストがあります。使わない項目が大量に残っている場合、整理の対象になることはあります。とはいえ、体型を触る段階で気にする話ではありません。
シェイプキーは「用意された変形をどれだけ適用するか」の指定です。素体と衣装はそれぞれ別に持っています。素体だけ動かすと形が噛み合わなくなります。
衣装との相性が崩れる仕組み
衣装は、特定の素体の形に合わせて作られています。標準状態の素体にぴったり合うように面が配置されているので、素体の形が変われば、その前提が崩れます。
貫通とはみ出しは別の症状
素体を大きくする方向に動かすと、素体の表面が衣装を突き抜けて外に出ます。これが貫通です。逆に小さくする方向に動かすと、衣装の中に隙間ができ、動いたときに服だけが浮いて見えます。
症状が違えば対処も違います。貫通なら素体側を隠すか、衣装側を広げる方向。浮きなら衣装側を縮める方向、あるいは素体の変形量を戻す方向です。どちらが起きているのかを最初に見極めましょう。
衣装側に同じ名前の項目があるかを見る
よくできた衣装には、素体の代表的な体型変更に対応する項目が用意されていることがあります。この場合は、素体側と衣装側で同じ名前の項目を同じ数値にすれば、形が揃います。
用意されていない場合は、素体側の変形を控えめにするか、素体の隠す範囲を調整する方向で折り合いをつけます。衣装の着せ替えそのものの手順は衣装の着せ替えと貫通の直し方で扱っています。
なお、衣装側に対応項目があるかどうかは、買う前に配布ページで分かる場合があります。体型を触る前提があるなら、対応の記載がある衣装を選んでおくと、あとの作業が大きく楽になります。
素体を隠すという解き方
貫通の対処として広く使われるのが、衣装で覆われる部分の素体を表示しない方法です。見えない部分を消してしまえば、突き抜けようがありません。多くのアバターには、この用途のシェイプキーが最初から用意されています。
注意点は、隠す範囲を広げすぎないことです。腕を上げた、しゃがんだといった姿勢で、隠した部分が見えてしまうと、体が欠けたように見えます。姿勢を変えながら、必要最小限の範囲に絞り込みましょう。
揺れものは形が変わると挙動も変わる
スカートや髪など、揺れる設定が入った部分は、形が変わると当たり方も変わります。素体を大きくした結果、スカートが常に押し出されて不自然に広がる、といったことが起こります。
体型を触ったあとは、静止した見た目だけでなく、歩く・座るといった動きのある状態でも確認しておきましょう。静止画では問題なくても、動いた瞬間に崩れることがあります。
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| 症状 | 起きている変形 | 最初に試す対処 |
|---|---|---|
| 素体が服から出る | 素体を大きくしすぎ | 変形量を戻す/素体の該当部を隠す |
| 服だけ浮いて見える | 素体を小さくしすぎ | 変形量を戻す/衣装側にも同じ変形を適用 |
| 歩くと服が破綻する | 揺れものの当たり方が変化 | 揺れ設定の当たり判定を見直す |
| 一部だけ形が合わない | 衣装側に対応項目が無い | 変形を控えめにする |
※衣装や素体の作りによって最適な対処は変わります。
調整の手順と確認の仕方
体型調整で失敗する原因の大半は、複数の項目を一度に動かすことです。どれが効いたのか分からなくなり、戻すこともできなくなります。
一度に1つだけ動かす
触る項目を1つ選び、数値を動かし、全身を確認する。この単位を守ります。手間に感じますが、破綻したときに直前の1手だけ戻せばいいので、結果的に速く終わります。
順番にも目安があります。全身の印象を決める大きな部分から先に決め、細部は後にまわします。先に細かいところを詰めてから全体を動かすと、細部の調整がやり直しになるためです。
標準状態を先に見ておく
何も触らない状態の全身を確認します。比較の基準になります。
項目を1つだけ選ぶ
名前から体型用か表情用かを判断し、体型用だけを対象にします。
控えめな量から動かす
いきなり最大まで振らず、少しずつ上げて変化を見ます。
衣装を着せた状態で確認する
素体単独では気づけない貫通や浮きが、ここで見えます。
動きのある状態でも見る
歩く・腕を上げるなど、姿勢が変わったときの破綻を確認します。
良ければ数値を記録する
次の項目に進む前に、確定した数値を書き留めます。
確認する角度を決めておく
正面だけを見て進めると、横から見たときの破綻を見落とします。正面、真横、斜め後ろ。この3方向を毎回見る、と決めておくと精度が上がります。
加えて、明るい場所と暗い場所の両方で見ておくと安心です。影の出方によって、面のつながりの不自然さが目立ったり隠れたりします。
見る距離も変えてみてください。近くで見て自然でも、離れるとシルエットが崩れて見えることがあります。人と会う場面で相手から見えるのは、たいてい少し離れた距離からの姿です。
他人から見た大きさも確認する
体型を変えると、身長や体格の印象も変わります。自分の視点からは気づきにくい部分なので、鏡や第三者視点で全身を映して確認しておきましょう。
特に、目線の高さは会話のしやすさに直結します。極端に低くすると相手を見上げ続けることになり、高くすると逆になります。見た目の好みだけでなく、使ったときの体験も含めて判断すると後悔が減ります。
戻せる形で記録を残す
体型調整は、時間を置いて見返すと印象が変わる作業です。その日は良いと思っても、翌日に見て戻したくなることがあります。戻れる状態を作っておきましょう。
数値そのものを書き留める
触った項目の名前と、設定した数値を並べたメモを作ります。テキストファイルで十分です。これがあれば、データが失われても同じ形を再現できます。
あわせて「なぜその数値にしたか」を一言添えておくと、後から見返したときに判断がぶれません。衣装に合わせるために抑えた、といった経緯は忘れやすい部分です。
作業の区切りで複製を残す
調整前、調整後、衣装を合わせた後。この単位で複製を取っておくと、どこからでもやり直せます。保存の運用はバックアップとバージョン管理の記事にまとめてあります。
体型を変えたあとで別の衣装を追加すると、その衣装は標準体型を前提に作られています。体型調整は「衣装を決めてから」行うほうが、やり直しが減ります。
やりすぎの見極めと、その先の選択肢
シェイプキーは便利ですが、万能ではありません。想定を超えて振ると、モデルの作りそのものが破綻します。
破綻のサインを知っておく
面が不自然に折れる、影が縞状に出る、関節を曲げたときに凹む。これらは変形量が想定を超えたサインです。静止した正面からは分かりにくいので、腕や脚を曲げた状態で確認してください。
もうひとつ分かりやすいのは、テクスチャの模様が引き伸ばされて見える状態です。表面の画像は元の形に合わせて貼られているので、大きく変形させると絵柄が歪みます。
サインが出たら、その手前まで戻すのが正解です。破綻した状態から別の項目で打ち消そうとすると、さらに複雑な崩れ方をします。上限を見つけたら、そこを越えない範囲で仕上げると決めてしまいましょう。
限界を超えたくなったときの道
用意された範囲では足りない、と感じたら選択肢は3つです。ひとつは、その体型に近い別のアバターを探すこと。ふたつめは、体型変更に対応した衣装を選び直すこと。みっつめは、モデルそのものを編集する方向へ進むことです。
3つめは自由度が高い反面、規約の確認が必要になり、衣装との互換もすべて自分で見ることになります。最初から目指すよりは、シェイプキーの範囲で足りるかを見てから判断するほうが現実的です。
体型を変えたら、肩のあたりだけ影が変になりました。数値はそこまで上げていないつもりです。
複数の項目が同時に効いている可能性があります。一度すべて標準に戻して、1つずつ上げ直してみてください。どの項目で崩れ始めるかが分かれば、そこが上限です。
よくある質問
すべてのアバターに体型調整用の項目があるわけではありません。表情用しか用意されていないモデルもあります。同梱の説明や配布ページに、どんな項目があるかが書かれていることが多いので、まずそちらを確認してください。用意がない場合、シェイプキーでの調整はできません。別の手段を検討することになります。
保たれます。ただし、標準の状態として保存する設定と、あとから切り替えられるようにする設定は別物です。常にその体型で使いたいのか、場面によって戻したいのかを決めてから組み方を選びましょう。切り替えを作る場合は、メニューの仕組みも合わせて理解しておく必要があります。
名前が同じでも、記録されている変形が完全に一致しているとは限りません。衣装側の対応が簡略化されている場合もあります。数値を少し下げて折り合いをつけるか、素体側の該当部分を隠す方向で調整してください。それでも解決しない症状は改変トラブル逆引きで切り分け方を確認できます。
まとめ
- シェイプキーは用意された変形を混ぜる仕組み。無い方向へは動かせない
- 素体と衣装は別々に持っている。素体だけ動かすと噛み合わなくなる
- 貫通と浮きは別の症状。どちらが起きているかで対処が変わる
- 一度に1項目だけ動かし、衣装を着た状態と動きのある状態で確認する
- 数値をメモし、区切りで複製を残せば、いつでも戻せる
衣装まわりの不具合が続くなら着せ替えと貫通の直し方へ、作業前の備えを固めたいならバックアップの記事へ進むとつながります。
※項目の名前や並びはアバターごとに異なります。実際の対応範囲は配布元の説明を確認してください。