軽量化・最適化

軽量化ツールの使いどころ|自動でどこまでやれるのか

目次

軽量化ツールは、人がやると何時間もかかる整理作業を短時間で片付けてくれます。ただし、どこを削るべきかという判断まではしてくれません。任せられる作業と、自分で決める作業を分けておくことが、うまく使うための前提になります。

任せられるのは「まとめる」「消す」「変換する」の3種類です。逆に、どこを守るかという判断だけは代行してくれません。この線引きを先に持っておくと、期待外れも事故も減ります。

結論から言うと、改変を重ねたアバターほど効きます。逆に、素の状態から何も足していないアバターでは、あまり変わらないこともあります。

自動化できる作業の種類

軽量化ツールがやっていることは、大きく3種類に分けられます。名前を覚えるより、この分類を持っておくほうが役に立ちます。

ばらばらのものをまとめる

分かれているマテリアル(表面の設定のまとまり)を統合する、複数の画像を1枚にまとめる、分割されたメッシュを結合する。この「まとめる」処理が、いちばん効果が出やすい領域です。

手作業でやろうとすると、対応関係を1つずつ確認する必要があります。ここは機械のほうが正確で、しかも速い。任せる価値がはっきりしている作業です。

使われていないものを消す

どこからも参照されていない画像、動かしていないボーン、残ったままの設定。こうした「あるだけで効いていない」ものを見つけて外す処理です。

これも人の目で探すのは大変です。見た目が一切変わらないのに数値が下がるので、最初に試してみる価値があります。Avatar Optimizerのような軽量化向けの拡張は、この領域を得意にしています。

形式や設定を変換する

テクスチャの圧縮設定をまとめて変える、揺れものの設定を軽い方式に置き換える。1つずつなら手でもできますが、数が多いと現実的ではありません。

一括で処理できるぶん、間違えたときの影響も一括で出ます。実行前に必ず複製を取っておいてください。

自動化できないこと

どこが見た目に効いているか、どのパーツが自分にとって大事か。この判断はツールにはできません。全部の面を同じ価値として扱うからです。

「顔は触らない」「輪郭は残す」といった指示を出すのは人の仕事です。ここを丸投げすると、軽いけれど魅力の抜けたアバターができあがります。

また、そのアバターを今後どう使うかもツールには分かりません。着せ替えを続けるつもりなら残しておくべきものを、使われていないと判断して外してしまうことがあります。使い方の予定は、実行前に自分で反映させてください。

ポリゴンの削減は別枠で考える

形そのものを減らす処理を持つツールもありますが、これは他の処理とは性質が違います。見た目が変わる可能性が高く、戻すのも面倒です。

まとめる処理と消す処理を先に試して、それでも足りないときの最後の手段にしてください。順番を守るだけで、余計な作り直しをかなり減らせます。

ここがポイント

ツールは「作業」を代行するもので、「判断」は代行しません。何を守るかを決めてから実行してください。この順番だけ守れば、失敗はほとんど起きません。

導入前にやっておくこと

ツールを入れる前に、済ませておくと結果が良くなる準備が3つあります。

複製してから作業する

これは軽量化に限らず、改変全般の基本です。プロジェクトのフォルダを複製し、複製したほうで作業してください。

自動処理は一度に多くの場所を変えるため、問題が起きたときの切り分けが難しくなります。戻れる地点があるかどうかで、試せる範囲がまったく変わります。

今の状態を測っておく

実行前の数値を記録していないと、効果があったのか分かりません。項目ごとの状態を確認して、メモに写しておきましょう。

どこを見ればいいかはPerformance Rankの読み方をまとめた記事で説明しています。特に、どの項目が引っかかっているかを控えておくと、実行後の比較がしやすくなります。

手作業の整理を先に済ませる

使わないと決めた衣装や小物は、ツールに任せる前に自分で外してください。ツールは「使われているかどうか」は判断できますが、「あなたが使う予定があるか」は分かりません。

非表示のまま残しているものは、使う可能性があるものとして扱われることがあります。先に構成を確定させておくと、処理の結果もきれいになります。

導入は1つずつ、順番を守る

複数のツールをまとめて入れると、不具合が出たときに原因を切り分けられません。1つ入れて動作を確認し、それから次を入れてください。

また、シェーダーや改変ツールとの導入順で問題が起きることがあります。配布元が推奨する順番を案内している場合は、それに従うのがいちばん確実です。自己流の順番で入れて詰まると、解決に時間がかかります。

注意

自動処理は一度に多くの場所を変更します。実行前に必ずプロジェクトを複製してください。結果に納得できなかったとき、戻れる地点がないと最初からやり直しになります。

効果が出やすいケース

どんなアバターでも同じように効くわけではありません。効きやすい条件があります。

改変を重ねてきたアバター

衣装を足し、小物を付け、髪を替えた。こうしたアバターは、追加のたびにマテリアルや画像が増えています。まとめる余地が大きく残っています。

特に、複数の作者の素材を組み合わせている場合は効きます。素材ごとに設定の作りが違うため、統合できる部分が多く残っているからです。

マテリアルが細かく分かれている

色を部分ごとに変えられるように、細かく分けて作られているアバターがあります。改変の自由度は高い反面、描画の準備にかかる手間は増えます。

改変が終わって構成が固まったなら、統合してしまって構いません。ここは効果がはっきり数字に出る場所です。

ただし、統合すると部分ごとの色替えはできなくなります。今後も色を変えて遊びたいなら、非破壊で効かせるタイプのツールを選んでください。書き出しのときだけ統合されるので、手元の自由度は保たれます。

小物をたくさん付けている

アクセサリーや小道具を複数付けているアバターも、まとめる余地が大きく残っています。1つずつは小さくても、数が増えると準備の手間として効いてきます。

この場合、統合の処理だけで表示が一段上がることがあります。見た目は何も変わらないので、試してみて損はありません。

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状態まとめる処理消す処理期待できる効果
改変を重ねている◎◎大きい
素のまま使っている◯×小さい
複数作者の素材を混在◎◯大きい
すでに軽量化済み××ほとんどない

※アバターの作りによって差があります。まず実行前の数値を控えてください。

効果が薄いケース

期待したほど変わらないこともあります。原因は2つに絞れます。

もともと整理されている

丁寧に作られたアバターを、素のまま使っている場合です。無駄がそもそも少ないので、まとめる余地も消す余地もありません。

この状態でさらに軽くしたいなら、テクスチャの解像度を下げるか、形を削るかという話になります。自動処理で稼げる部分は、すでに稼ぎ終わっています。

重さの原因が別の場所にある

マテリアルを統合しても、引っかかっているのがポリゴン数なら表示は変わりません。逆もまた同じです。

だから、実行前に原因を特定しておく必要があります。効かない処理を何度も試すより、一度測るほうが早い。工程全体の並べ方は軽量化の全体像をまとめたガイドを参照してください。

初心者さん

ツールを入れたのに、数字がほとんど変わりませんでした。


編集部

引っかかっている項目と、ツールが得意な領域がずれているのだと思います。まず一覧を見て、どの項目が原因かを確かめてください。

非破壊で効かせるという発想

最近の軽量化ツールには、元のデータを書き換えずに処理する作りのものがあります。この仕組みを知っておくと、扱い方が変わります。

書き出す瞬間にだけ処理する

プロジェクト上のデータはそのままで、アップロード用に書き出すときだけ最適化がかかる。これが非破壊と呼ばれる考え方です。

元の構成が手元に残るので、あとから衣装を替えたくなっても作業をやり直せます。削ったデータしか残っていない状態と比べて、後戻りの負担がまったく違います。

試行錯誤の回数を増やせるのも利点です。設定を変えて書き出し直すだけなので、気に入らなければ何度でもやり直せます。壊す心配が小さいぶん、思い切った設定も試せます。

改変ツールとの役割分担

着せ替えや機能追加を担当するツールと、軽量化を担当するツールは別のものです。両方を入れて、それぞれの担当範囲で働かせる形になります。

どのツールが何を担当しているのかは改変の道具立てを役割ごとに整理した記事にまとめています。導入の順番でつまずくことが多いので、先に読んでおくと安全です。

結果の検証方法

実行して終わりにしないでください。効いたかどうか、壊れていないかを確認するところまでが作業です。

数値と見た目の両方を見る

数値が下がっても、見た目が崩れていれば失敗です。逆に、見た目が保たれていても数値が動いていなければ意味がありません。両方を確認します。

見た目の確認では、動かすことを忘れないでください。統合の処理では、表情の変形や揺れものの挙動が変わることがあります。止まった状態では気づけません。

設定を変えながら何度か試す

多くのツールには、処理の強さや対象を指定する設定があります。最初は控えめな設定で実行し、結果を見てから強めていくのが安全です。

いきなり最大まで効かせると、どこで壊れたのかが分かりません。一度に一つずつ設定を変えて、そのたびに確認する。手数は増えますが、原因追跡が効くようになります。

実機で最終確認する

制作環境で問題なく見えても、実際にアップロードすると違って見えることがあります。特に統合の処理は、描画の順番に影響することがあります。

書き出して、サービス内で自分の目で見る。ここまでを1セットにしてください。友人に見え方を聞ければ、なお確実です。

効いた処理を記録しておく

どの設定でどれだけ数値が動いたかを、1行ずつ残しておいてください。次に別のアバターを軽量化するとき、そのまま出発点として使えます。

アバターごとに効く処理は違いますが、傾向はある程度共通しています。記録が数体ぶん貯まると、最初にどこを試せばいいかの見当がつくようになります。毎回ゼロから探る必要がなくなります。

よくある質問

不要にはなりません。ツールが得意なのは、まとめる・消す・変換するといった機械的な整理です。どこを守るか、どのパーツを諦めるかという判断は人が決める必要があります。また、テクスチャの解像度をどこまで下げるか、形をどこまで削るかも、見た目と相談しながら決める作業です。ツールを入れることで手作業がかなり減るのは確かですが、判断の部分は残ると考えてください。そこを人がやるからこそ、見た目を保ったまま軽くできます。


役割が違うツールであれば、併用するのが普通です。ただし、同じ処理を担当するツールを重ねると、結果が予測しにくくなります。導入するときは1つずつ入れて、そのたびに動作を確認してください。まとめて入れて問題が起きると、どれが原因か分からなくなります。導入順で不具合が出ることもあるため、配布元が案内している順番があればそれに従うのが確実です。


渡してよいかは、元のアバターと使った素材それぞれの規約次第です。軽量化はデータの改変にあたるため、改変データの受け渡しに関する条項が適用されます。多くの場合、改変したデータをそのまま渡すことは認められていません。組み合わせて使った素材が複数あるなら、そのすべてについて確認が必要です。作業の内容にかかわらず、渡す前に規約を読む習慣をつけてください。

まとめ

  • ツールが得意なのは「まとめる」「消す」「変換する」の3種類
  • どこを守るかの判断は人が決める。丸投げすると魅力が抜ける
  • 実行前に複製を取り、現在の数値を記録しておく
  • 改変を重ねたアバターほど効く。素のまま使っている場合は効果が小さい
  • 効かないときは、引っかかっている項目とツールの得意分野がずれている
  • 検証は数値と見た目の両方で。動かして、実機まで確認する

まずはどの項目が足を引っ張っているかを特定する方法で現状を測り、それから効果の大きい順に手を付ける全体ガイドの該当する工程にツールを当ててください。原因が分かってから使うと、効果がはっきり見えます。

※各ツールの対応範囲や導入方法は更新で変わります。導入前に配布元の案内を確認してください。

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