ポリゴン削減の考え方と、やりすぎの見分け方
ポリゴンを削る作業は、軽量化の中でいちばん派手に数字が動きます。ただし、削る場所を間違えるとシルエットが崩れ、削り直しも戻すのも手間になります。順番と場所さえ守れば、見た目をほとんど変えずに減らせます。
どこから削るか、どこは触らないか。この2つを決めてから手を動かすかどうかで、結果はまるで変わります。作業そのものより、判断の基準を先に持つことのほうが大事です。
ポリゴンは、モデルの表面を構成している小さな面のことです。数が多いほど形をなめらかに表現できますが、そのぶん描く手間が増えます。削るというのは、この面の数を減らして形を単純にする作業です。
ポリゴン削減を後回しにする理由
先に断っておくと、この作業は最初にやるべきものではありません。理由が2つあります。
削っても効かないことがある
重さの原因がマテリアル(表面の設定のまとまり)の多さや画像の大きさにある場合、形をいくら削っても体感は変わりません。数字だけ減って、見た目だけ痩せて終わります。
どの項目が引っかかっているかを先に確認してください。原因の特定と、他の工程との順番は軽量化の全体像をまとめたガイドで扱っています。ポリゴンが原因だと分かってから削り始めるほうが、確実に近道です。
失敗したときの被害が大きい
テクスチャを下げすぎたなら、元の画像に差し替えれば戻ります。ポリゴンは違います。削った形は、その作業単位ごと巻き戻さないと復元できません。
しかも、崩れに気づくのが遅れます。静止した状態では問題なく見えて、腕を上げたときや笑ったときに初めて分かることがあるからです。この性質があるので、慎重さの必要な作業になります。
削る前に、まず「不要なものを消す」「見えない場所を消す」を済ませてください。この2つだけで足りることがあります。形をなめらかさごと削るのは、その後です。
削っていい場所と、触ってはいけない場所
場所ごとに、削ったときの影響はまったく違います。ここを分けて考えるかどうかで結果が変わります。
影響がほぼゼロの場所
服に完全に隠れている素体、靴の中の足、髪の内側で外から見えない面。これらは削るというより、そもそも表示されていない部分です。
ここは削っても見た目が1ミリも変わりません。最初に手を付けるべき場所であり、多くのアバターでいちばん稼げる場所でもあります。
販売されているアバターは、どんな衣装を着せられても対応できるように作られています。だから素体は全身ぶん用意されているのが普通です。着せる服が決まったなら、その前提はもう不要になります。
シルエットを作っている場所は残す
輪郭に出る部分、つまり横から見たときの体の線や、髪の外側のカーブ。ここを削ると、遠くから見たときの印象がまず変わります。
アバターの識別は、細部ではなくシルエットで行われています。遠目で「あの人だ」と分かるのは輪郭のおかげです。ここを痩せさせると、軽くはなっても別人になります。
髪は特に注意が必要な部分です。毛束の形が輪郭を作っているので、なめらかさを削ると角ばった印象になります。削るなら、外から見えない内側の面に限定してください。
動く場所は特に慎重に
顔の表情まわりと、肘・膝・肩といった関節部分。ここは動いたときに形が変わるため、削ると変形が破綻しやすくなります。
特に表情用の変形が仕込まれている部分は、面を減らすと動きそのものが崩れます。笑顔が引きつる、口が閉じきらない、といった症状が出たら原因はここです。
関節も同じ理屈です。曲がる場所には、曲げたときに形を保つための面が用意されています。ここを減らすと、腕を曲げたときに紙を折ったような角が出ます。
細かい装飾は「消す」か「残す」かで考える
ボタン、リボンの結び目、アクセサリーの細部。こうした部分は、なめらかさを削るより、そのパーツごと外すかどうかで判断するほうが向いています。
中途半端に削ると、形が歪んで違和感だけが残ります。要らないと思うなら外し、要るなら維持する。この二択のほうが結果がきれいです。
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| 場所 | 見た目への影響 | 削減で稼げる量 | 着手順 |
|---|---|---|---|
| 服の下に隠れた素体 | × | ◎ | ◎ |
| 髪の内側の面 | × | ◯ | ◎ |
| 髪の外側・輪郭 | ◎ | ◯ | × |
| 顔・表情まわり | ◎ | × | × |
※アバターの作りによって差があります。まず自分のモデルの構成を確認してください。
隠れている部分から片付ける
実際の作業は、ここから始めます。効果が大きく、失敗しても気づかれない領域です。
服の下の素体
長袖の服を着ているなら、腕の素体は見えていません。ロングスカートなら脚もそうです。この部分は削るか、非表示ではなく実際に取り除きます。
ただし、着せ替えの予定があるなら注意が必要です。半袖の服に替えたときに腕が無くなっていた、という事故が起きます。衣装の構成が固まってから作業してください。
重ね着で埋もれている衣装
買ったアバターに複数の衣装が入っている場合、使わないものが丸ごと残っていることがあります。これは削る以前に、外してしまうのがいちばん効きます。
複数着る予定があるなら残しますが、1着に決めているなら他は不要です。作業用のプロジェクトから外しておきましょう。
重ね着をしている場合も同じです。上着で完全に覆われているインナーの背中側は、外から見えることがありません。何が何に隠れているかを、一度整理して確認してみてください。
着せ替えの予定が残っているうちに、素体を取り除く作業をしないでください。あとから露出の多い衣装に替えたとき、欠けた部分がそのまま見えます。構成を確定させてからの工程です。
非表示は削減ではない
表示を切っただけの部品は、データとしてはそのまま残ります。見えないのに数には入っている、という状態です。
数値を下げたいなら、実際に取り除く必要があります。元のプロジェクトを複製してから作業していれば、必要になったときに戻せます。複製の運用はバックアップとバージョン管理の記事にまとめています。
自動削減に任せる範囲
面を1つずつ手で減らすのは現実的ではありません。ここは道具の出番です。
得意なことと苦手なこと
自動処理は、平らな面や、密度が過剰な部分を減らすのが得意です。人の目で見つけるのが面倒な冗長さを、まとめて片付けてくれます。
一方で、どこが見た目に効いているかの判断はできません。輪郭も表情まわりも、同じ扱いで削られる可能性があります。だから「どこを対象にするか」は人が決める必要があります。
「このアバターの魅力はどこか」を知っているのは持ち主だけです。そこを守る指示さえ出せば、あとの単純作業は道具のほうが正確で速く終わります。役割を分けて考えてください。
一括ではなくパーツ単位で
アバター全体をまとめて処理すると、削ってほしくない場所まで巻き込まれます。パーツごとに分けて、削減の度合いを変えるのが安全です。
髪は控えめに、服の内側は大きく、顔は対象から外す。この程度の分け方でも、結果はかなり変わります。ツールに何をどこまで任せられるかは軽量化ツールの使いどころを整理した記事で詳しく扱っています。
少しずつ試して、止まる位置を探す
いきなり大きく削ると、どこで崩れ始めたのかが分かりません。控えめな設定から始めて、少しずつ強めていくほうが結果的に速く終わります。
各段階で見た目を確認し、崩れが見え始めた一歩手前に戻す。この探り方なら、そのパーツの限界が自分の目で確認できます。パーツごとに限界は違うので、まとめて同じ設定にしないでください。
崩れの確認方法
削ったあとの確認を省くと、あとで気づいてやり直しになります。見る順番を決めておきましょう。
止まった状態では分からない
正面で立っている姿だけを見て合格にしないでください。ポリゴン削減の崩れは、動いた瞬間に出ます。
腕を大きく上げる、しゃがむ、振り向く。この3つを試すだけで、関節まわりの破綻はだいたい見つかります。表情も一通り切り替えて確認してください。
遠くと近くの両方から見る
近くで見れば面の粗さが、遠くから見ればシルエットの変化が分かります。両方を見ないと、片方の崩れを見逃します。
特に遠景での確認は忘れられがちです。実際に人と会う場面では、まず遠くから見られることを思い出してください。
気づきにくい崩れ方を知っておく
面を減らしたときに出やすいのは、なめらかだった曲面が角ばること、影の落ち方が変わってまだらに見えること、そして布の縁がギザギザになることです。
どれも一目で「壊れた」と分かる崩れ方ではありません。なんとなく安っぽく見える、という形で現れます。違和感を覚えたら、削る前のデータと並べて見比べてください。並べれば原因はすぐ分かります。
実際のサービス内でも確認する
制作環境での見え方と、実際にアップロードしたあとの見え方は一致しないことがあります。光の当たり方も、表示の設定も違うからです。
大きく削ったときは、書き出して実機で確認するところまでを1セットにしてください。ここで初めて気づく崩れがあります。
削ったあと、何を見れば合格なのか分かりません。
動かして、遠くから見て、表情を切り替える。この3つで違和感がなければ十分です。面の数を眺めていても判断はできません。
戻せる作業単位を作る
この作業では、戻せる状態を保っておくことが安全装置になります。手間に見えて、結局いちばん速い進め方です。
1パーツごとに保存する
髪を削ったら保存、服を削ったら保存。この粒度で区切っておくと、崩れが見つかったときに戻す範囲が最小で済みます。
まとめて削ってから確認すると、どこが原因か分からないまま全部やり直すことになります。地味ですが、区切る手間は必ず回収できます。
何をどれだけ削ったかを記録する
パーツ名と、削った度合いと、確認した結果。この3つを1行ずつ残しておけば十分です。
この記録は、別のアバターを軽量化するときにも役立ちます。どのくらいまでなら崩れないかの感覚が、記録として蓄積されていくからです。
削減前のデータは捨てない
軽量化したデータができても、削る前のデータは残しておいてください。将来もっと性能の高い端末が手元に来たとき、元があれば作り直せます。
また、衣装を替えたくなったときの出発点にもなります。削減済みのデータから元へ戻ることはできませんが、元のデータからは何度でもやり直せます。保管しておく価値は十分にあります。
よくある質問
目標値は使う端末とサービスで変わるため、一律には言えません。まず、運営が公開している基準の一覧で、自分が使う環境の区分を確認してください。そのうえで、実際にポリゴンの項目が引っかかっているかを測ります。引っかかっていないなら、削る必要はありません。数字を追いかけるより、どの項目が原因かを特定するほうが先です。原因が別の場所にあるまま形を削っても、労力に見合う結果は出ません。
任せる範囲を決めれば有効です。危ないのは、アバター全体を一度に処理して、削ってほしくない場所まで巻き込むことです。顔と輪郭に関わる部分は対象から外し、内側や見えない部分を中心に処理するという指定ができれば、道具はかなり働いてくれます。処理後に動かして確認する工程だけは、人がやる必要があります。ここを飛ばさなければ、自動化は十分に頼れます。
服の下の素体を取り除いていた場合、露出が増える衣装に替えると欠けた部分が見えてしまいます。この場合、削る前のデータに戻ってやり直すことになります。だからこそ、衣装の構成が固まってから削るのが基本です。着せ替えを頻繁にするなら、素体を取り除く作業は避けて、他の場所で稼ぐという判断もあります。削減は、構成を確定させてからの仕上げ工程だと考えてください。
まとめ
- ポリゴン削減は最後の工程。先に原因の特定と、不要データの整理を済ませる
- 削るのは、服の下の素体や髪の内側など、そもそも見えていない場所から
- シルエットを作る輪郭と、表情・関節まわりは触らない
- 自動処理はパーツ単位で。どこを対象にするかは人が決める
- 確認は動かして、遠近両方から、表情も切り替えて行う
- 目標値は端末とサービスで変わる。公式の基準一覧で自分の環境の値を確認する
削減に入る前に、効果の大きい順に手を付ける全体ガイドで自分のアバターの原因が本当にポリゴンなのかを確かめてください。原因が別なら、この作業は丸ごと不要になります。
※基準や項目の区分はサービスの更新で変わります。作業前に公式の案内を確認してください。