アバター軽量化 完全ガイド|「かわいい」を削らずに軽くする
軽量化は「かわいさを削って軽くする作業」だと思われがちですが、実際は逆です。見た目にほとんど効いていないのに負荷だけ食っている部分が、たいていのアバターには残っています。そこから先に外していけば、印象を変えずに軽くできます。
この記事は、何が重さを作っているのかを分解したうえで、効果の大きい順に手を付ける流れをまとめたものです。上から順に読めば、自分のアバターのどこを触ればいいかが決まります。
個々の作業の細かい手順は専用の記事に分けてあります。ここでは「どの順番でやるか」と「どこで止めるか」を持ち帰ってください。この2つが決まっていないと、いくら削っても終わりが来ません。
重さの正体を、2種類に分けて捉える
アバターが重いと言うとき、実際には性質の違う負荷が混ざっています。まずこれを分けないと、効かない場所を一生懸命削ることになります。大きく分けると、描く手間と、描く準備の手間の2つです。
1枚の絵を描くための手間
形の細かさ、表面に貼られた画像の大きさ、光の計算の複雑さ。これらは映像を1コマ描くたびにかかるコストです。髪の毛が細かく分かれている、大きな画像がたくさん貼られている、といったアバターはここが膨らみます。
この部分は主にグラフィックス側の負担になります。画面に映っている間ずっとかかり続けるので、人が多い場所ほど効いてきます。
描く前の準備にかかる手間
「この素材でここからここまでを描いて」という指示を出す回数が、もう一つの負荷です。マテリアル(表面の設定のまとまり)が分かれているほど、指示の回数は増えます。
形がどれだけ単純でも、マテリアルが細かく分かれていれば準備の手間は減りません。ポリゴン数だけを見て「軽いはず」と判断すると外すのは、この違いを見ていないからです。
動き続けているものにもコストがある
髪やスカートの揺れ、服の追従、表情の変形。これらは形や画像とは別枠で、毎フレーム計算が走っています。見た目には静かでも、裏では動き続けている部分です。
揺れものは付いている本数がそのまま計算量になります。増やしたぶんだけ確実に重くなるので、「なんとなく揺らしている」場所があれば見直す価値があります。
自分が重いのと、相手を重くするのは別の話
自分の環境で快適に動いていても、人が集まる場所では話が変わります。同じ空間にいる人数分だけ、あなたのアバターが相手の端末で描かれるからです。
軽量化の動機としては、こちらのほうが大きいと考えてください。自分の見え方だけで判断すると、削る必要に気づけません。実際、性能の高いPCを使っている人ほど、自分では重さに気づけない状態になりがちです。
重いアバターは、相手の設定によっては表示自体が省略されることもあります。せっかく作り込んでも見てもらえないなら本末転倒です。軽量化は、見てもらうための作業でもあります。
削る前に「形」「画像」「マテリアル」のどれが膨らんでいるかを特定してください。原因を見ないまま削り始めるのが、いちばん時間を無駄にする進め方です。
効果の大きい順に手を付ける
軽量化には、労力あたりの見返りが大きい作業と小さい作業があります。順番を間違えると、いちばんつらい作業から始めることになります。
おすすめの着手順
現状を測る
何も変えないまま、今の状態を確認します。項目ごとの数値を見られる仕組みがあるので、そこで足を引っ張っている場所を特定します。
使っていないものを外す
非表示のまま残っている衣装や小物、読み込まれているだけの素材を消します。見た目が一切変わらないのに効く、いちばん得な工程です。
テクスチャを整理する
表面に貼られた画像の大きさと枚数を見直します。見た目への影響が小さいわりに、効果が出やすい場所です。
マテリアルをまとめる
分かれすぎている表面設定を統合します。ここは自動化ツールが得意にしている領域でもあります。
揺れものと光の設定を見直す
動きの計算や光源の扱いは、見た目の変化が小さいわりに負荷を持っていることがあります。
最後にポリゴンを削る
形そのものを削るのは最後です。作業量が多く、失敗するとシルエットが崩れます。
測ってから削る
最初の工程を飛ばさないでください。どの項目が原因かは、アバターによってまるで違います。髪の毛が原因の人もいれば、小物の数が原因の人もいます。
アップロード用のパネルには、項目ごとの状態が一覧で表示されます。ここを開いて、他と明らかに差がついている行を探してください。何がランクを決めているかが分かると、削る場所が自然に絞れます。
測定は1回で終わらせず、工程ごとに繰り返してください。1つ作業するたびに数字を見ると、どの作業がどれだけ効いたのかが記録として残ります。次に別のアバターを軽量化するとき、その記録がそのまま手順書になります。
一度に複数を変えない
改変全般に言えることですが、軽量化では特に効いてきます。テクスチャとマテリアルとポリゴンを同時に触ると、見た目が崩れたときにどこが原因か分かりません。
1工程ごとに保存して、動かして確認する。この繰り返しが結局いちばん速く終わります。戻れる地点を細かく作っておくことが、思い切って削るための条件です。
テクスチャから始める理由
効果が出やすく、見た目への影響が読みやすい。この2つが揃っているのがテクスチャです。多くの場合、ここだけで体感が変わります。
気づかれにくい場所から下げる
画像の解像度は、映る面積と見られる距離で必要量が決まります。靴の裏、髪の内側、服の下に隠れる部分。こうした場所は解像度を下げてもまず気づかれません。
逆に、顔と、いつも人に見られる位置にある装飾は下げないでください。ここを削ると、軽くなったのと引き換えに「なんとなく安っぽい」印象になります。
枚数をまとめるという発想
解像度を下げる以外に、複数の画像を1枚にまとめる方法もあります。手間はかかりますが、準備の手間のほうにも効きます。
下げすぎの見分け方や圧縮の考え方はテクスチャの削り方を扱った記事にまとめました。まずここから読むのが近道です。
確認は実際の距離で行う
解像度を下げたあと、画面いっぱいに顔を寄せて見比べると、当然ながら粗く見えます。ただ、実際に人と会うときの距離でそこまで寄ることはほとんどありません。
判断は、普段の会話で相手が立っている距離から行ってください。その距離で違いが分からないなら、下げて問題ない場所です。撮影をよくするなら、寄って撮る部分だけ元の解像度を残すという分け方もできます。
解像度を下げる作業は、元の画像を上書きせずに行ってください。下げた画像から元の情報は復元できません。差し替え用のフォルダを別に作り、元ファイルはそのまま保管しておきましょう。
マテリアルとメッシュの整理
テクスチャの次に効くのが、この整理です。地味ですが、見た目を1ミリも変えずに数字が動くことがあります。
使っていないものが残っている
買ったアバターには、複数の衣装や髪型が最初から入っていることがあります。使わないものを非表示にしただけでは、データとしては残り続けます。
非表示と削除は別です。使う予定がないものは、作業用のプロジェクトから外してしまいましょう。元データを複製してから作業していれば、あとで戻せます。
試しに入れてみたまま忘れられた小物も、意外と残っています。作業を再開するときは、まず何が入っているかを一覧で眺めるところから始めると発見があります。
分かれすぎた表面設定をまとめる
細かく分けられたマテリアルは、改変のしやすさと引き換えに準備の手間を増やします。色を分けるためだけに分かれているなら、統合できる場合があります。
この作業は手でやると大変なので、自動化ツールに任せる領域です。何が任せられて何が任せられないかは軽量化ツールの使いどころを整理した記事で説明しています。
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| 作業 | 見た目への影響 | 効果の出やすさ | 作業量 |
|---|---|---|---|
| 使っていないものを外す | × | ◎ | ◯ |
| テクスチャの解像度を下げる | ◯ | ◎ | ◎ |
| マテリアルをまとめる | × | ◯ | ◯ |
| ポリゴンを削る | ◎ | ◯ | × |
※アバターの作りによって順位は前後します。まず測ってから判断してください。
ポリゴン削減を最後に回す理由
ポリゴン数はいちばん目に入りやすい数字なので、ここから手を付けたくなります。ただ、労力と失敗のリスクを考えると、最後に回すほうが合理的です。
削っても効かないことがある
準備の手間が原因で重くなっているアバターは、形を削っても体感が変わりません。原因を特定せずに削ると、シルエットだけ痩せて終わります。
特に顔まわりは、少し削っただけで表情の印象が変わります。表情用の変形が仕込まれている部分は、削ると動きが崩れることもあります。静止した状態では気づかず、笑わせてみて初めて分かる崩れ方をするので厄介です。
また、削減の効果は元の作りに左右されます。もともと丁寧に作られたアバターは無駄が少なく、削ってもあまり減りません。逆に、細かい装飾が多いアバターは削りどころが残っています。
削るなら見えない場所から
服に完全に隠れている素体、内側にしかない面、床に接している靴底。この順で削れば、見た目への影響をほぼゼロに抑えられます。
崩れの確認方法と、やりすぎの見分け方はポリゴン削減の考え方をまとめた記事にあります。作業単位を細かく区切り、戻せる状態を保ちながら進めてください。
ゴールは端末が決める
「どこまで軽くすればいいのか」に一律の答えはありません。使う端末とサービスによって、求められる水準が変わるからです。
基準は自分で確認する
ポリゴン数や画像の大きさの上限は、サービス側が公開している基準表に載っています。端末の種類ごとに分かれていることが多いので、自分が使う環境の行を見てください。
解説記事や動画で見かける数字は、書かれた時点の環境を前提にしています。数字そのものを覚えるのではなく、確認する場所を覚えておくほうが確実です。
用途によって必要な水準は変わる
撮影が中心で、少人数の場所にしか行かないなら、削る量は控えめで足ります。逆に、人が多いイベントによく行くなら、そこに合わせた水準が必要です。
自分がどこで過ごす時間が長いかを先に思い出してください。行かない場所の基準に合わせて削るのは、払わなくていいコストです。用途別にデータを分けて持つ人もいます。
妥協ラインを先に決めておく
作業を始める前に「ここまで下がったら終わり」と決めてください。決めていないと、際限なく削って、気づいたら別のアバターになっています。
スタンドアロン機やスマホ向けは前提そのものが変わります。作り直しに近い作業になるので、モバイル向けに用意するときの手順を別に確認しておきましょう。
軽くしたいけど、削って別人になるのが怖いです。
見えない場所と、遠くからしか見られない場所から削れば印象は変わりません。顔と、正面から見える装飾だけ触らないと決めておけば大きく外しません。
よくある質問
必ずしも悪くなりません。多くのアバターには、見た目に効いていないのに負荷だけかかっている部分が残っています。使っていない衣装データ、見えない場所の高解像度画像、分かれすぎたマテリアルなどです。ここを整理する段階では、見た目はまったく変わりません。印象が変わり始めるのは、形そのものを削る段階からです。だからこそ、その手前でどれだけ稼げるかが大事になります。
目標値は使う端末とサービスで変わるため、一律には言えません。サービス側が公開している基準の一覧に、端末ごとの区分が書かれています。まずそこで自分の環境の値を確認してください。そのうえで、実際にどの項目が引っかかっているのかを測ります。ポリゴン数が原因ではないケースも多く、数字だけを追いかけると効かない作業に時間を使うことになります。
両方残してください。軽量化は削る作業なので、やりすぎたときに戻る先が必要です。元のプロジェクトを複製してから作業し、軽量化版は別の場所に保存しておきます。将来もっと性能の高い端末を使うようになったとき、元データがあれば作り直せます。逆に元を上書きしてしまうと、取り返しがつきません。
まとめ
- 重さは「描く手間」と「描く準備の手間」に分かれる。まずどちらが原因かを測る
- 着手順は、不要データの削除 → テクスチャ → マテリアル → 揺れもの・光 → ポリゴン
- テクスチャは見えない場所から下げる。顔と正面の装飾は触らない
- 使っていない衣装や小物を外す作業は、見た目を変えずに効く最も得な工程
- ポリゴン削減は最後。削っても効かない場合があり、失敗の影響が大きい
- 目標値は端末とサービスで変わる。公式の基準表で自分の環境の値を確認する
次は何がランクを下げているのかを特定する方法を読んで、自分のアバターの現状を測ってみてください。原因が分かってから削り始めると、作業量が半分以下になります。
※各サービスの基準や項目名は更新で変わります。作業前に配布元と運営の案内を確認してください。