VRoid Studioで自分の顔を作る|はじめの一歩と、つまずく場所
VRoid Studioは、3Dの知識がなくてもキャラクターを一から作れるツールです。粘土をこねるように顔を整え、髪を生やし、服を着せる。その結果を、そのままアバターとして書き出せます。「自分だけの姿が欲しいけれど、モデリングは無理」という人にとって、いちばん現実的な入口になります。
操作を1つずつ追う説明はしません。最初に触る順番、初心者が高い確率で詰まる場所、書き出したあとにできること。どこに時間をかけ、どこを後回しにしてよいかという判断の話が中心です。
画面の項目名はツールの更新で変わります。ここでは「何をする場所か」で説明するので、実際の画面と照らし合わせながら読み進めてください。
これは何ができるツールなのか
一般的な3D制作ソフトは、点と線から形を作ります。VRoid Studioはその工程を丸ごと省き、あらかじめ用意された人型を出発点にして、そこを調整していく作りになっています。
作る対象が「人型」に絞られている
何でも作れるツールではありません。人型のキャラクターを作ることに用途を絞り、そのぶん操作を単純にしています。この割り切りが、初心者が形にたどり着ける理由です。
顔のパーツの位置、体型のバランス、髪の量。こうした調整が、数値やスライダーで直感的に行えます。骨組みや重さの設定は自動で処理されるため、意識しなくても動くモデルができあがります。
髪は「描いて生やす」発想
このツールの特徴がいちばん出るのが髪です。一本ずつ配置するのではなく、頭の上に線を引くと、その線に沿って髪の束が生まれます。カーブや太さを調整すれば、束の形が変わります。
感覚としては、モデリングというより作画に近い作業です。絵を描く習慣がある人ほど、ここは早く馴染みます。逆に、3D的な思考で挑むと戸惑うかもしれません。
そのまま使える形で書き出せる
作ったキャラクターは、アプリをまたいで使える形式で書き出せます。書き出したファイルを対応サービスに渡せば、その日のうちに自分の姿として使えます。制作から利用までが一続きになっているのが、このツールの強みです。
最初の1体は「完成させる」ことを目標にしてください。細部を詰めるほど沼にはまります。まず書き出して、実際に動かして、そこから直す。この順番のほうが上達が早くなります。
最初に触る順番
編集できる場所がたくさんあるので、順番を決めずに触ると迷子になります。おすすめの進め方は、大きい要素から小さい要素へ、です。
ベースを選ぶ
用意されている素体から、作りたい方向に近いものを選びます。ここで大枠が決まるので、迷ったら後で変えられる範囲を優先します。
顔の輪郭と体型を決める
細かいパーツより先に、全体のシルエットを整えます。輪郭と身長のバランスが決まると、以降の調整がぶれません。
髪を作る
作業時間がいちばん長くなる部分です。前髪、横、後ろの順にブロックで考えると、破綻しにくくなります。
顔のパーツを調整する
目・眉・口の位置と大きさを詰めます。ここは正面だけでなく、斜めからも見ながら決めます。
服と小物を着せる
用意された衣装を選び、色を変えます。テクスチャを描き足すのは、この段階で十分です。
書き出して確認する
完璧を待たずに一度書き出し、使いたい場所で表示させます。直す場所が具体的に見えてきます。
なぜ髪を先にやるのか
髪はシルエット全体を支配します。顔をどれだけ丁寧に作っても、髪型が合っていなければ印象は決まりません。しかも髪は作り直しの負担が大きいので、後回しにすると顔の調整をやり直すはめになります。
顔は正面だけで判断しない
正面から見て整った顔が、斜めから見ると崩れていることがあります。3Dである以上、人からは常に正面が見えるわけではありません。カメラを回して、横顔と斜め45度でも確認する癖をつけましょう。
特に鼻と口の高さ、後頭部の膨らみは、正面からでは判断できません。ここが決まると、写真を撮ったときの見栄えが変わります。
時間の配分を先に決めておく
編集できる場所が多いぶん、1か所に何時間も溶かしてしまいがちです。最初の1体では、髪に半分、顔に3割、残りを衣装と確認にあてるくらいの配分を意識すると、その日のうちに書き出しまで届きます。
途中で「もっと似せたい」と感じたら、それは2体目でやることとして記録しておきましょう。作りかけのまま放置されたキャラクターほど、もったいないものはありません。
初心者がつまずきやすい場所
順番どおりに進めても、詰まる場所はだいたい決まっています。先に知っておくと、詰まったときに焦らずに済みます。
髪が思った形にならない
いちばん多い悩みです。線を引いても、頭に沿ってくれない、束が変な方向にねじれる。これは多くの場合、一度に大きな束を作ろうとしているのが原因です。
小さい束をいくつも重ねるほうが、結果的に制御しやすくなります。1つの束で表現しようとせず、レイヤーを分けて重ねる発想に切り替えてみてください。
体型を変えたら服が突き抜ける
体型の調整と衣装は連動しています。用意された衣装は、標準的な体型を前提に作られているため、大きく変えると体が服からはみ出します。
対処は2つです。体型の調整を控えめにするか、衣装側の設定で厚みや位置を調整するか。どちらにせよ、体型を大きく変えるのは衣装を決めてからにすると手戻りが減ります。
座る、腕を上げるといった動きでも突き抜けは起きます。立ち姿だけで判断せず、動かした状態で確認しておきましょう。
体型のスライダーを端まで動かすと、ほぼ確実にどこかが破綻します。極端な値は「そこまで動かせる」という意味であって、「動かしてよい」という意味ではありません。
テクスチャを描き込みすぎて重くなる
質感を上げようとして高解像度のテクスチャを重ねると、書き出したファイルが重くなります。重さは持ち込み先の制限に直結するので、描き込む前に「どこで使うか」を思い出してください。
スマートフォンや単体で動く機器で使う予定があるなら、解像度は控えめにしておくほうが安全です。上限は端末とサービスによって変わるため、公式の制限一覧で自分の環境の値を確認しましょう。
データの扱いと、個性の出し方
形の話がひと段落したら、次は運用の話です。ここを雑にすると、せっかく作ったものを失ったり、どこかで見た顔のまま止まったりします。
保存したはずのデータが見つからない
制作途中のデータと、書き出したファイルは別物です。前者は編集を続けるための材料、後者は使うための完成品。この2つを同じフォルダに雑に置くと、あとで必ず混乱します。
作業用と書き出し用でフォルダを分け、それぞれ定期的に別の場所へコピーしておきましょう。作業用のデータさえ残っていれば、書き出しは何度でもやり直せます。逆に作業用を失うと、細かい調整は最初からになります。
他人と似た顔になってしまう
用意された素体と衣装をそのまま使うと、どうしても既視感のある顔になります。これ自体は悪いことではありませんが、自分らしさが欲しくなったときは、大きく変えるより小さくずらすほうが効きます。
目の間隔をわずかに広げる、眉の角度を変える、髪の分け目をずらす。こうした細かい差が、人の記憶に残る個性になります。逆に顔全体を大きく変形させると、破綻だけが目立つ結果になりがちです。
書き出しまでの流れ
形が決まったら、使える状態にして外へ出します。ここで少し設定の話が出てきますが、押さえるのは3点だけです。
重さの調整
書き出しの前に、髪の量やテクスチャの扱いをまとめる設定が用意されています。ここで負荷を下げておくと、持ち込み先で弾かれにくくなります。
とはいえ、まとめすぎると質感が落ちます。まずは標準的な設定で書き出し、重すぎると言われてから下げる。この順番のほうが、無駄に削らずに済みます。
表情の確認
基本的な表情は自動で用意されます。書き出す前に一通り再生して、破綻がないかを見ておきましょう。特に口を大きく開けたときと、目を閉じたときは崩れやすい場所です。
まつげが目に埋まる、口の中が見えてしまう。こうした症状は、顔のパーツを大きく動かしたときに出やすくなります。表情まで確認してから顔の調整を確定させると、あとで戻る手間が減ります。
利用条件の設定
書き出す際、そのモデルをどう扱ってよいかという情報を一緒に埋め込めます。自分だけで使うのか、他の人にも触らせるのか。ここは後から変えるのが面倒なので、書き出しの時点で意思を決めておきましょう。
他人が作った素材を取り込んでいる場合は、その素材の条件が優先されます。自分の設定だけで判断しないよう注意してください。
書き出したあとにできること
書き出したファイルは、そのまま使うだけのものではありません。次の一歩がいくつか用意されています。
対応サービスで自分の姿として使う
いちばん素直な使い道です。対応しているサービスに渡せば、その場で自分の姿になります。形式の仕組みそのものはVRMの解説記事でまとめているので、対応の探し方はそちらを参照してください。
具体的な持ち込みの流れはVRMでの持ち込み手順の記事が分かりやすいはずです。初めての書き出しなら、実際に使えるところまで一気に通してみましょう。
配信用のモデルとして使う
表情と視線の情報が入っているため、配信向けのアプリでも扱えます。ただし配信用途と交流用途では、求められる作りが微妙に違います。この違いは配信モデルと交流用アバターの違いをまとめた記事で整理しています。
他のツールへ持ち込んで作り込む
ここから先は難易度が上がりますが、書き出したモデルを別のツールで開き、さらに手を入れることもできます。衣装を追加する、ギミックを組む、といった方向です。
ただし、持ち込んだ先で編集すると、元のツールに戻すのは難しくなります。分岐点だと考えて、作業用のデータは必ず残したうえで進めてください。
せっかく作ったので、最初から作り込みたくなります。
気持ちは分かりますが、一度人前に出してからのほうが、直したい場所がはっきりします。反応は最良のフィードバックです。
どこまでこのツールで進めるか
作り続けていると、このツールでできることの外側が見えてきます。そこが次の分岐点です。
得意な範囲
人型キャラクターを、破綻のない状態で早く形にすること。これがいちばんの強みです。何体も作って試す、着せ替え感覚で方向性を探る、といった使い方とも相性が良くなっています。
もう1つの強みは、骨組みや表情の設定を自分で組まなくてよい点です。一般的な3D制作では、この工程だけで挫折する人が多くいます。そこを飛ばして「動く状態」から始められるのは、入口としてかなり大きな利点です。
作り直しが軽いことも見逃せません。気に入らなければ別の素体で作り直せばよく、失敗の代償が小さい。試行回数を稼げるツールは、それだけで上達に向いています。
外側に出たくなる場面
用意された衣装では表現しきれない服を着せたい、独自のギミックを組みたい、人ではない体型にしたい。こうした要求が出てきたら、別のツールを組み合わせる段階です。
ただ、その段階に来たとしても、このツールで作った経験は無駄になりません。骨組みや表情の考え方は共通しているので、次のツールの理解が早くなります。
よくある質問
作れます。顔も体もスライダーで調整でき、髪や衣装もあらかじめ用意されたものを選んで色を変えるだけで形になります。テクスチャを自分で描き込む段階になると絵の力が効いてきますが、そこは後回しにして問題ありません。
書き出す際に、他人の利用をどこまで許すかを設定できます。ただし、自分以外が作った素材を取り込んでいる場合は、その素材の利用条件が優先されます。配布や販売を考えているなら、使った素材すべての条件を先に確認してください。
本格的な制作にはPCが必要になります。ただし、書き出されたファイルを使うだけならスマートフォン対応のサービスでも扱えます。まずは配布されているモデルで遊び、作る段階でPC環境を検討するという順番でも問題ありません。
まとめ
- 人型に用途を絞ることで、3D未経験でも形にたどり着けるツール
- 作る順番は「体型 → 髪 → 顔のパーツ → 衣装」が崩れにくい
- 髪の破綻と、体型変更による衣装の突き抜けが二大つまずきポイント
- 書き出し前に重さ・表情・利用条件の3点を確認する
- 完璧を待たず一度書き出し、使ってから直すほうが上達が早い
書き出したファイルをどこで使えるのかはVRMの仕組みと対応アプリの探し方にまとめています。作る前に読んでおくと、無駄な作り込みを避けられます。