ライティングで顔色が変わる|撮る前に整える設定
同じアバターなのに、撮る場所によって顔が暗く沈んだり、逆に白く飛んだりします。原因はほとんどが光の向きと強さで、アバター側の問題ではありません。
やることは多くありません。光がどこから来ているかを探し、それが顔の斜め前に来る位置まで半歩動く。多くの場面はこれで片が付きます。足りないときだけ、1灯を足します。
構図の作り方は別記事に分けています。この記事は「シャッターを押す前に整える光」の話です。
顔色を決めているのは、光が来ている方向
人の目は、明るさそのものより明暗の差で形を認識します。顔がのっぺり見えるのも、逆に不気味に見えるのも、光の向きが作る影の位置で決まります。
アバターの陰影はシェーダーが計算している
シェーダーは、光が当たったときに表面をどう見せるかのルールです。同じ光でも、使われているシェーダーによって影の濃さや色みは変わります。「暗いのに影がくっきり出る」「明るくしても平坦なまま」といった違いはここから来ます。
シェーダーごとの性格の違いはシェーダー入門の記事で扱っています。まずは、光を変えれば見え方が変わるという前提を持っておけば十分です。
アバターによっては、影の色や濃さを調整する項目が用意されていることもあります。ただし、そこを触る前に光の向きを整えるほうが効果は大きく、やり直しもききます。設定をいじるのは、向きと強さで解決しなかったときの手段だと考えておきましょう。
真上と真下は避けるところから始める
光が真上から落ちると、目のくぼみと鼻の下に濃い影ができ、目が暗くなります。逆に真下から当てると、鼻筋やあごの下に不自然な影が出ます。どちらも避けたい形なので、まずは「斜め前の少し上」を基準にしましょう。
基準の位置は「顔の斜め45度・目線より少し上」。ここから当てると、頬に自然な明暗差が出て、目元も暗くなりません。迷ったらこの位置に戻します。
まずはワールドの光を読む
撮影用の照明を持ち込む前に、その場にある光を確認します。ワールドの光は自分では動かせないことが多いので、動かせるのは自分の立ち位置とカメラの向きです。
半歩動くだけで顔の明るさは変わる
屋内なら窓や照明、屋外なら太陽の方向を探します。見つけたら、その光を顔の斜め前に置く位置まで自分が移動します。移動する距離は半歩から1歩で十分で、それだけで顔の明るさは目に見えて変わります。
この確認は、カメラを構える前にやっておきましょう。構図を決めてから明るさに気づくと、また最初からやり直しになります。
逆光かどうかは輪郭の縁で判断する
光源が被写体の背後にあると、顔が暗く落ちて、髪や肩の縁だけが明るく光ります。これが逆光の状態です。雰囲気を出したいときには有効ですが、表情を見せたいなら不利になります。
逆光のまま顔を見せたい場合は、正面側から弱い光を足して顔だけを起こします。逆光を消すのではなく、暗くなった部分を持ち上げる発想です。
影が落ちている場所に入っていないか
建物の陰、木の下、大きなオブジェクトの裏側。こうした場所に立つと、周囲は明るいのに顔だけが暗く写ります。撮影中は自分の顔を直接見られないので、気づかないまま撮り続けてしまいがちです。
顔が暗いと感じたら、まず影の中にいないかを疑いましょう。1歩前に出るだけで解決することが少なくありません。
暗いワールドは無理をしない
もともと光がほとんどない場所では、顔をきれいに出すのに手間がかかります。撮りたい絵が暗い雰囲気でないなら、明るい場所に移るほうが早いことが多いです。場所選びも光の調整の一部だと考えましょう。
持ち込む光は、まず1灯だけ
照明を足せる環境なら、いきなり複数を置かずに1灯から始めます。1灯で顔が整えば、それ以上は必要ないことも多いからです。
置く位置は「斜め45度・少し上」
顔の正面から見て左右どちらかに45度ずらし、目線よりわずかに高い位置から当てます。すると、光が当たる側の頬が明るくなり、反対側の頬に柔らかい影が残ります。この明暗差が立体感になります。
正面から真っ直ぐ当てると影が消え、平たい印象になります。逆に90度の真横まで回すと、顔の半分が暗くなり印象が強くなりすぎます。45度前後は、その中間として扱いやすい位置です。
強さは「影がうっすら残る」ところで止める
明るくすればきれいに写るわけではありません。強くしすぎると、頬や額の明るい部分が白く塗りつぶされ、肌の質感が消えます。影が完全に消える手前で止めるのが目安です。
迷ったら、少し暗いところから徐々に上げていきます。上げ過ぎたものを下げるより、足りないところから上げるほうが判断しやすくなります。
近づけすぎるとムラになる
光源を顔のすぐ近くに置くと、当たっている一点だけが強く光り、周囲が急に暗くなります。少し距離を取ると、明るさが顔全体になだらかに広がります。「明るさが足りない」と感じたときも、まず距離と向きを見直すほうが結果は安定します。
最初から3灯も4灯も置くのは避けましょう。どの光がどの影を作っているのか分からなくなり、直す手がかりを失います。まず1灯、足りなければ2灯です。
2灯目は「輪郭」か「影側」に足す
1灯で顔が整ったあと、まだ物足りないときにだけ2灯目を検討します。足す場所は2つのうちどちらかです。
背中側から当てて輪郭を起こす
被写体の斜め後ろから弱い光を当てると、髪や肩の縁が細く光ります。これがあると、背景から人物が分離して見えます。暗い背景で撮るときにとくに効きます。
強さは控えめにします。輪郭が白く太く光ると、後ろから何かに照らされているような不自然さが出ます。あくまで縁がうっすら分かる程度です。
影側を弱く起こす
1灯目の反対側から、ごく弱い光を当てます。影を消すのではなく、暗く沈んだ部分の情報を残すための光です。影の濃さを半分くらいに緩めるイメージで足します。
ここを強くしすぎると、両側から均等に照らされて立体感が消えます。1灯目より明確に弱く、が原則です。
足した光は、必ず1つずつ確認する
2灯目を置いたら、いったん1灯目を消して、足した光だけがどこを照らしているのかを見ます。この確認をしておくと、あとで「なぜかここだけ明るい」という状態に悩まされません。
複数の光を同時に動かすと、原因の切り分けができなくなります。置く、確認する、次を置く。この順番を崩さないほうが、結果として早く仕上がります。
色かぶりと白飛びを避ける
顔色が「なんだか変」と感じるとき、原因は明るさではなく色であることがよくあります。ここは気づきにくいので、確認の仕方を覚えておきましょう。
色付きの光は肌の色に乗る
青いネオンの下では肌が青ざめ、オレンジの照明の下では日焼けしたように見えます。演出として狙うなら問題ありませんが、意図していないなら立ち位置を変えるか、白に近い光を正面から弱く足して打ち消します。
白い光を足すときも、強くしすぎるとワールドの雰囲気が壊れます。顔だけがその場から浮いて見えたら、足しすぎのサインです。
背景の色が肌に映り込むことがある
赤い壁の前に立つと、頬にうっすら赤みが乗ることがあります。これはシェーダーや環境光の設定によって起きる自然な現象です。気になる場合は、壁から数歩離れると弱まります。
瞳のハイライトが消えていないか
瞳に入る小さな光の点は、表情の生き生きした感じを支えています。光を真横や真後ろに置くと、この点が消えて目が死んで見えます。顔の斜め前・少し上という基準は、瞳にきちんと光を入れるための位置でもあります。
寄りの構図で「目に力がない」と感じたら、光の向きを数歩ぶん前に戻してみてください。強さを変えなくても印象が変わります。
白飛びは明るい部分から確認する
白飛びとは、明るい部分が真っ白に潰れて質感が失われる状態です。髪のつやや白い服、額のあたりから起こります。撮る前に、画面の中でいちばん明るい場所を見て、そこに模様や陰影が残っているかを確認しましょう。
逆に黒つぶれは、暗い衣装や髪の内側で起きます。どちらも撮影後には戻せないので、撮る前に整えるのがいちばん確実です。
判断に迷ったら、少しだけ暗めに撮っておく手もあります。暗い写真は後から持ち上げられる余地が残りますが、真っ白に潰れた部分は何も戻ってきません。どちらかに寄せるなら、暗い側に寄せるほうが安全です。
顔だけ明るくしようとすると、いつも白っぽくなってしまいます。
光を強くする前に、当てる向きを45度に戻してみてください。向きが合っていないまま強さで補うと、白飛びしやすくなります。
場面別の、光の組み立て方
基本が同じでも、場所によって手をつける順番は変わります。よく撮る3つの場面について、最初に何をするかを整理しました。
屋外の明るい場所
光が強く、影もはっきり出る場面です。太陽にあたる光源を背中側に置くと逆光になり、正面に置くと顔が平坦になります。斜め前に来る位置まで体ごと回して、頬に影ができる向きを探しましょう。
明るすぎて白飛びしやすい場面でもあります。額や白い衣装が潰れていないかを、撮る前に一度確認しておくと安心です。
夜や暗いワールド
暗い場所では、顔を明るくしようとして全体を持ち上げると、雰囲気ごと消えてしまいます。ここでは、顔にだけ弱い光を当て、背景は暗いままにするのが基本です。明暗の差が大きいほど、暗さの演出は活きます。
あわせて輪郭光を弱く足すと、背景に埋もれずに人物が浮きます。ネオンなど色付きの光が強い場所では、肌に色が乗りすぎていないかも見ておきましょう。
室内・カフェのような場所
天井の照明が真上にあることが多く、そのまま立つと目元に影が落ちます。窓や壁際の光源を探して、顔の斜め前に来る位置へ移動しましょう。テーブル席なら、椅子の向きを変えるだけで解決することもあります。
撮影前に通す確認の順番
毎回この順番でチェックすると、暗すぎ・白すぎ・色かぶりの3つはほぼ避けられます。慣れれば1分もかかりません。
光源の方向を探す
窓・照明・太陽など、その場でいちばん強い光がどこから来ているかを確認します。
自分の立ち位置を合わせる
その光が顔の斜め前に来るよう、半歩から1歩の範囲で移動します。ここで足りれば照明は不要です。
足りなければ1灯だけ足す
顔の斜め45度・目線より少し上に置き、影がうっすら残る強さで止めます。
いちばん明るい場所を見る
額・髪のつや・白い服を見て、質感が残っているかを確認します。潰れていたら光を弱めます。
肌の色を疑う
青すぎ・赤すぎがないかを見ます。色が乗っているなら立ち位置か光の色を調整します。
うまくいった設定は、ワールド名とセットでメモしておくと次が早くなります。よく行く場所ほど、同じ調整を繰り返すことになります。
よくある質問
立ち位置とカメラの向きだけで調整します。まず光源を探し、それが顔の斜め前に来る位置まで移動してください。それでも暗い場合は、明るい壁や床の近くに立つと、反射した光が顔側に回り込んで少し持ち上がります。どうしても足りないときは、暗さを活かした構図に切り替えるか、別の場所で撮り直すほうが早いこともあります。
足している光が強すぎるか、色がその場の光と合っていない可能性があります。顔に当てる光を少し弱め、ワールドの光の色みに近づけると馴染みます。また、輪郭側に弱い光を足して背景との境目を作ると、明るさを上げなくても顔が見やすくなります。明るさで解決しようとせず、向きと色を先に見直しましょう。
撮影時に整えておくほど、あとの調整は軽くて済みます。ただし、白飛びや黒つぶれのように情報が失われた部分は、あとから戻せません。撮る前にできることを先にやり、加工は仕上げの微調整にとどめる、という順番が扱いやすくなります。撮影設定側の詰め方は被写界深度と解像度の記事にまとめています。
まとめ
- 基準は「顔の斜め45度・目線より少し上」。迷ったらここに戻す
- 照明を足す前に、自分が半歩動いてワールドの光を使う
- 持ち込む光は1灯から。影がうっすら残る強さで止める
- 2灯目は輪郭を起こすか、影側を弱く起こすかのどちらか
- 白飛びと色かぶりは、撮る前にいちばん明るい場所と肌色で確認する
光が整ったら、次はぼかしと解像度で仕上げます。被写界深度と解像度の設定記事と、カメラの置き方をまとめたアバター撮影の基本をあわせて読むと、撮影の流れがひととおりつながります。仕上げた写真の出し方はSNSでの見せ方の記事が参考になります。