アバターを自分で作る方法まとめ|スマホ・PCソフト・AIの3ルート
アバターを自分で作ると決めたとき、最初に必要なのは技術ではなくルート選びです。スマホのアプリで組み合わせる、PCのソフトで作り込む、AIに作業の一部を任せる。この3つは、かかる時間も、出来上がるものの自由度も、途中で詰まる場所も違います。
ここでは3つのルートを同じ物差しで並べます。読み終わったときに「自分はこの道から入る」と決まっている状態を目指しました。合わなければ乗り換えられるので、最初の選択に完璧さは求めなくて構いません。
なお、どのルートを通っても、作り終えたあとにやることはほぼ同じです。そこも最後に触れます。
「作る」と言っても3種類ある
自作という言葉から、粘土をこねるように形をゼロから起こす作業を想像する人は多いはずです。実際には、そこまでやっている人は多くありません。既にある素体やパーツを土台にして、自分の好みへ寄せていくやり方が主流です。
どこから始めるかで難易度が決まる
作業の重さを決めているのは、スタート地点です。完成した素体があってパラメータを動かすだけなのか、パーツを組み合わせるところからなのか、面の一枚一枚を作るところからなのか。この3段階で必要な時間は大きく変わります。
初めて作る人が挫折するのは、いちばん下の段階から始めてしまったときです。まずは上の段階で1体完成させて、物足りない部分だけ下へ降りるほうが続きます。
3つのルートの正体
本記事で扱う3ルートは、スタート地点の違いでもあります。スマホアプリは「用意されたパーツを選ぶ」、PCソフトは「素体を調整する、あるいは形から起こす」、AIは「その作業を補助する」という位置づけです。
AIだけは性格が違い、単独のルートというより他の2つに重ねて使うものだと考えてください。ここは誤解が多いところなので、あとで詳しく扱います。
ルートを選ぶ前に決めておく2つのこと
道具を選ぶ前に、決めておくと後戻りが減る項目が2つあります。ひとつは、作ったモデルをどこで使うつもりかです。ソーシャルVRで使うのか、配信で使うのか、静止画を撮るだけなのか。用途が違えば、必要な形式も、力を入れる場所も変わります。
撮影が主目的なら細部の質感に時間をかける価値があり、人が多い場所で毎日過ごすなら軽さのほうが効いてきます。ここを決めずに作り込むと、完成後に作り直すことになりがちです。
もうひとつは、その持ち込み先が何を受け取れるかです。共通形式のファイルをそのまま読み込む方式なのか、開発環境を経由して登録する方式なのか。使う場所が決まっていない場合は、共通形式で書き出せるルートを選んでおくと選択肢を狭めずに済みます。
最初に決めるのは「どこまで自分で決めたいか」と「どれだけ時間を割けるか」の2つです。この2つが決まれば、3ルートのどれに入るかは自動的に絞れます。
ルート1:スマホアプリで組み合わせる
スマホだけで3Dキャラクターを作れるアプリがあります。顔のパーツ、髪型、体型、衣装をタップで選び、色を調整していく形が中心です。MakeAvatarのように、スマホ単体で3Dモデルを組み立てて書き出せるものもあります。
向いているのはこういう人
PCを持っていない人、まずは1体持って動かしたい人、細部よりも早さを優先したい人に向きます。移動中や寝る前の時間でも進められるので、まとまった作業時間が取れない場合にも合います。
「作った感」が薄いのではと心配する必要はありません。パーツの選び方と色の組み合わせだけでも、印象はかなり変わります。
限界が来るのは、この2か所
ひとつは、用意されていない見た目にできないことです。特徴的な髪型や、独自の衣装を着せたくなった時点で、アプリの中では解決できなくなります。
もうひとつは、書き出したあとの調整です。細かい修正はPCのソフトが必要になります。どこまでスマホで完結して、どこからPCが要るのかはスマホだけで3Dキャラクターを作る流れをまとめた記事で境目まで含めて整理しました。
ルート2:PCソフトで作り込む
PCを使うルートは、さらに2つに分かれます。キャラクター専用のソフトで素体を調整するやり方と、汎用の3Dソフトで形から起こすやり方です。
専用ソフトで素体を調整する
VRoid Studioのように、キャラクターを作ることに特化したソフトがあります。顔のパラメータを動かし、髪をブラシで描き、衣装のテクスチャを塗る、という流れで進みます。3Dの専門知識がなくても形になるのが強みです。
操作の順番とつまずきやすい場所はVRoid Studioの最初の一歩をまとめた記事に置いてあります。スマホアプリより自由度は高く、汎用ソフトより敷居は低い、ちょうど中間の位置にあります。
汎用ソフトで形から起こす
Blenderのような汎用の3Dソフトを使うと、できないことはほぼなくなります。ただし、覚えることは一気に増えます。モデリング、骨組みの設定、表面の設定、書き出しの条件。それぞれが独立した技術です。
最初からこの道に入る必要はありません。専用ソフトで作った1体を、部分的にBlenderで直すところから入ると、必要な知識だけを順に覚えられます。
どうせなら最初から本格的なソフトを覚えたほうが早い気がします。
完成しないまま止まる人がいちばん多いのがその入り方です。1体でも完成させると、次に何を覚えるべきかが自分で分かるようになります。
ルート3:AIを作業の相棒にする
AIでアバターを作る、という言い方は少し実態とずれています。現時点で公開されている情報を見るかぎり、テキストを打ち込むだけで完成した3Dアバターのファイルが出てくるわけではありません。
いま得意なのは、設計と作業の肩代わり
ChatGPTの最新世代であるGPT-6 Astraは、非常に長い資料をまとめて読ませられること、CADのようにコードで形を組み立てる方向が強化されていることが挙げられています。Blenderでのモデリングを行い、その結果をUnreal Engineのシーンとして歩けるようにした、という利用例も示されています。
つまり、活きるのは「手を動かす前の設計」と「繰り返し作業のスクリプト化」です。どんなキャラにするかの案出し、作業手順の整理、Blenderの操作をスクリプトへ落とす、エラーの原因を切り分ける。このあたりが現実的な使いどころです。
出力は必ず自分で検証する
いちばん多い事故は、生成されたスクリプトを内容を見ないまま実行して、作りかけのデータを壊すことです。実行する前にバックアップを取り、まずは影響の小さい範囲で試してください。
AIで何ができて何ができないのかはできること・できないことを切り分けた記事に整理しました。期待の置き場所を先に決めておくと、使い始めてから失望せずに済みます。
3ルートを同じ物差しで比べる
それぞれの性格を並べると、選び方がはっきりします。表の◎×は優劣ではなく、向き先の違いだと読んでください。
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| 比べる軸 | スマホアプリ | PC専用ソフト | PC汎用ソフト |
|---|---|---|---|
| 1体目が完成するまでの速さ | ◎ | ◯ | × |
| 見た目の自由度 | × | ◯ | ◎ |
| 覚えることの少なさ | ◎ | ◯ | × |
| 書き出し後の調整のしやすさ | × | ◯ | ◎ |
| 必要な機材の少なさ | ◎ | × | × |
※AIはこの3つのどれにも重ねて使えるため、別枠として扱っています。
迷ったときの決め方
PCがあるかどうかで分ける
PCがなければスマホアプリ一択です。ここで迷う必要はありません。
今週どれだけ時間を割けるかを見積もる
数時間しか取れないなら専用ソフト、腰を据えられるなら汎用ソフトも視野に入ります。
どこまで自分で決めたいかを言葉にする
「髪型さえ好みなら十分」なのか「輪郭まで自分で決めたい」のかで、必要な道具が変わります。
1体完成させてから見直す
作り終えた時点で不満が出た部分が、次に降りるべき段階です。
途中でルートを乗り換えるとき
ルートは固定ではありません。ただし、乗り換えやすい方向としにくい方向があります。
上へは進みやすく、下へは戻りにくい
スマホアプリで作ったものをPCで直す、専用ソフトで作ったものを汎用ソフトで作り込む。この方向は自然につながります。書き出したファイルをそのまま読み込めば作業を続けられるためです。
逆に、汎用ソフトで作り込んだものをスマホアプリに戻すことはできません。アプリが自分の形式でしかデータを持てないからです。「あとで戻れる」前提で進めないようにしましょう。
乗り換え前にやっておくこと
書き出したファイルは、必ず別の場所にも残しておいてください。ソフトを移った先で失敗しても、元のファイルがあればやり直せます。作業前に複製を取る癖をつけると、思い切った変更を試せるようになります。
作ったあとに必ず来る工程
どのルートを通っても、作り終えた時点ではまだ「使える状態」になっていません。共通してやることが2つあります。
書き出して、使う場所へ持ち込む
作ったモデルは、使いたいサービスが受け取れる形式で書き出す必要があります。VRMのように複数サービスで読み込める形式もあれば、開発環境を経由して登録する方式もあります。持ち込みまでの流れは書き出しから各サービスへの持ち込みまでをまとめた記事で扱っています。
ここで「作ったのに使えない」となる人が多いので、作り始める前に、使いたい場所が何を受け取れるかを確認しておくと安全です。
権利と規約を確認する
自分で作ったものでも、素材やパーツに他人が作ったものが含まれていれば、その規約に従います。配布や販売を考えているなら、なおさら先に確認が要ります。あとから作り直しになると痛手が大きい部分です。
スマホアプリや専用ソフトで作った場合は、そのソフトが定める利用条件も関わってきます。作ったモデルをどこまで自由に使えるのか、商用の場面で使えるのかは、ソフトごとに違います。書き出す前に一度目を通しておきましょう。
書き出しの条件や対応形式は、サービス側の更新で変わります。作業を始める前に、使いたいサービスの公式ドキュメントで受け入れ条件を確認してください。
よくある質問
作れます。スマホアプリと専用ソフトのどちらも、パーツを選んだりパラメータを動かしたりする作業が中心です。絵を描く必要があるのは、テクスチャを自分で塗る段階に入ってからです。そこも既存のテクスチャの色を調整するところから始められるので、いきなり白紙に描くことにはなりません。
使うルートと、どこまで作り込むかで大きく変わります。スマホアプリで用意されたパーツを選ぶだけなら、その日のうちに形になります。専用ソフトで髪や衣装まで手を入れると、数日から数週間かかることもあります。まずは短時間で1体完成させて、そこから作り込む進め方が挫折しにくいやり方です。
現時点では、完成したアバターのファイルが出てくるわけではありません。AIが得意なのは、設計を整理する、作業をスクリプトにする、エラーの原因を切り分けるといった補助の部分です。手を動かす作業そのものは残ります。相棒として使うと効きますが、代わりに作ってもらう道具として期待すると噛み合いません。
まとめ
- 作る道は3つ。スマホアプリ、PC専用ソフト、PC汎用ソフト。AIはそこに重ねて使うもの
- 選ぶ基準は「どこまで自分で決めたいか」と「割ける時間」の2つ
- 難しい道から入ると完成しない。まず1体作り切って、不満が出た部分だけ降りる
- 乗り換えは上方向には進みやすく、下方向へは戻れない
- どのルートでも、書き出しと持ち込み、規約の確認は必ず来る
ルートが決まったら、それぞれの詳細記事へ進んでください。PCがない場合はスマホで完結する範囲を確認できる記事から入ると、無駄な回り道をせずに済みます。
※各ソフトの機能や対応形式は更新で変わります。実際の仕様は公式の案内で確認してください。